<ニュース通信簿>振り込め詐欺の被害額急増の話題を取り上げた。
2004年が過去最大の283億円、17年から19年にかけては対策の強化で若干、減っていたのが、ことしは上半期だけで166億8千万円にのぼった。このペースで行くと、年間で330億円に達して最悪になるのだそうだ。あまりの多さにあきれる。どこかの土地改良区で起きた着服事件の50倍以上か、と思ったりして見ていると、急増の原因は「還付金詐欺」によるもの、とナレーションが教えてくれる。
「携帯持ってATMへ」がキーワード
納め過ぎた税金を返すとか病気の治療費の割戻しがあるとか騙って、ケータイをつないだまま被害者をATMまで誘導し、ことば巧みに現金を振り込ませるのだという。街頭インタビューに応じた、主婦らしい2人の女性も「もらえたらラッキーと考えちゃう」「もしかしたら引っかかるかもしれない」と言っていた。危ないのである。
ここで「大阪のおばちゃん」再び出番です、となる。パワフルそうな風貌、派手な着衣がいかにも大阪風を感じさせる女性トリオは、4年前、静岡地区で流されたTVCMに登場して、「振り込め詐欺に騙されるな」と叫んで、同県の被害を半減させたツワモノ。そこで、被害増大に頭を痛める島根県警察本部が、2匹目のドジョウを狙って彼女たちにCM出演を依頼したのだ。
ところが、おばちゃんの1人が実は危うく振り込め詐欺の被害者になるところだったと番組は伝える。先月、社会保険庁の職員を名乗る男から、病気の治療費3万円が返ってきます、と電話が入った。思わず「儲けた。回転寿司を食べに行ける」と喜んだらしい。が、口座番号はと聞かれて、教えるのがイヤで、「窓口に取りに行きます」と答えたら、「ブツッと切れたんです」と話す。他人事ではないというわけだ。島根県民向けのCMでは「携帯持ってATMに来い、言われたら、還付金詐欺やで」と声を張り上げている。
田口五朗キャスターは、「ATM周辺で携帯電話を使えなくすること、サングラスやマスクで防犯カメラに素顔が写らないようにしている人物にはATMを操作できなくする取り組みが今月から始まっている。その効果に期待したい」と語るが、敵は侮りがたい。新たな手口を思案中だろう。イタチごっこになるのでは……。
アレマ
*NHKニュースウォッチ9(2008年7月31日放送)