出世は「買うもの」 大分県教委の「常識」を解剖

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   連日、報じられている大分県教員汚職事件。進行中のスキャンダルをどう料理するか関心を持って見たが、特に前半が見応えのある出来になっていた。

   事件の中心と目される人物は3人。このうちの2人、矢野哲郎元教諭と江藤勝由元参事の供述内容を軸に番組は構成される。おととし(2006年)6月、教員採用試験受験者の中に矢野元教諭の長女の名を見つけた江藤元参事からかかった1本の電話が生々しい。

   江藤 なんでオレに言ってくれなかったんだ?

   矢野 仲が良すぎて頼むのが忍びなかった。

   江藤 オレがなんとかしてやるよ。

獲物のイノシシふるまう

   江藤元参事は大分県教育委員会の義務教育課人事班で教員採用の合否を決める権限をもっていた。3か月後、長女は合格。「点数が大幅にかさ上げされたと見られています」(ナレーション)。1か月後、矢野元教諭は江藤元参事に100万円分の商品券を贈る。「本当に強い絆ができたと思った……県教委幹部につけ届けとして商品券を渡すのは当たり前だった。自分が悪いことをしているとは感じなかった」と供述しているという。

   生まれ育った佐伯市の小、中学校で、わけ隔てなく生徒に接し、クラブ活動にも積極的に取り組み、楽しい先生と慕われていた矢野元教諭は1996年、県教委の出先機関である中津教育事務所の指導主事となる。これが今回の事件につながる転機だった。やがて、自宅で県教委の有力幹部をもてなし始める。趣味の狩りで獲った猪の肉を利用したという。

   県教委幹部との太いパイプをつくった矢野元教諭は自宅で「勉強会」を開き、メンバーに「確実に昇進させてくれる人がいる。段取りしてやろうか」と持ちかけるようになる。参加者の3人が橋渡しを依頼、その後、それぞれ、校長と教頭への昇進に成功する。ここでも110万円分の商品券が動いた。「みんなやっているから、こうでもしなければ3人の昇進は難しいと思った」と、矢野元教諭は関係者に話しているそうだ。

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