<テレビウォッチ>20万隻という日本の漁船がきのう(7月15日)から一斉休漁--大ニュースのはずが、新聞の扱いもそう大きくはない。どうにもならないと、分かっているからなのか。実際に魚の値段があがらないと分からないのかーー。
カメラが築地市場に入ったが、「近海物が入らないから、ちょっと高いが、3日4日続くときびしくなる」(場外卸)といいながらも、見たところは平常とあまり変わらない。
きのうの各地の様子、紀伊勝浦、気仙沼、銚子、山形酒田……どこもひっそり。東京日比谷では、全国から集まった漁業者3000人が集会とデモを行った。
酒田のイカ釣り漁船の船長がいう。「1日の油代が14、5万円。売り上げが20万円。息子の給料(いま15万円)をどんどん減らしてる。身内だからできるが、他人だったらできない」。その油代がまだあがるんだからかなわない。
岸本哲也が解説。「漁師さんの手取りが上がらないのは、魚の値段が小売りで決まるから。消費者ばなれが恐くて値上げできないから、市場、漁港と値段が逆に決まっていく。小売りで100円だと、市場で40円、産地で24円。これが漁師さんの手取り」という。
問屋も「経費節減は限界。だから何とか安く買おうとすると、漁師を苦しめる」という。実は市場の懐は深くて、品薄になってもすぐには価格に跳ね返らないのだが、休業が増えれば、やがて限界に達するのは当然だ。
小倉智昭は、「原油の高騰による影響は、魚だけの問題じゃないから、政府も漁業者だけに何かをするわけにはいかないだろうし……」
高木美保は、「長い目で見たら、緩やかに値上がりするのは仕方がない」
小倉は、「先のサミットでは、環境問題だけが声高にいわれたが、この目先の問題について、真剣に話さないのが不思議だった」
サミットを取材していた佐々木恭子も、「投機マネーについてほとんど話さなかった。何が問題なのかを」という。
小倉はさらに、「年金のお金がそこへ流れ込んでいて、結局自分たちを苦しめているというのに、なんで地球の人たちは……」と面白いいい方をした。
そう、全体で考えれば、お魚の話はほんの一部にすぎない。しかし、他の食品が軒並み値上がりしているのに、魚だけが安値ということはありえない。品薄が続けば必ず値があがる。消費者もわかっている。市場は余計な小細工をしない方がいい。