競泳の世界新記録ラッシュ。今年2008年になって更新された記録はすでに30を超え、なかには18年ぶり、11年ぶり、8年ぶりもある。ほとんどがイギリス・スピード社製の高速水着である。その秘密は何か。NHKお得意の検証だ。
カギは流線型
いったいどんなメカニズムなのかを、筑波大学の高木英樹准教授が、アテネ五輪のときの水着との比較をやった。
スピード社の高速水着は、厚さ0.3ミリのナイロン素材(黒い部分)と伸縮性の少ない素材(グレー)の組み合わせだ。グレー部分の締め付けがすごく、着用に20分もかかる。これで身体の断面積を小さくしているのか、と二次元測定器で測ったが、両者ほとんど変わらず。
違ったのは、身体の形だった。締め付けによって凹凸が少ない流線型。さらに、水中での姿勢も変わった。従来は足が下がっていたのが、水面に近くなって、この2つで水の抵抗が、大きく減っていたのだった。
この結果、飛び込んで10メートル進むまでに、0秒1から0秒2の違いが出た。北島選手も4月の日本選手権のときは50メートルを14ストロークだったが、高速水着のジャパンオープンでは13ストロークなのに、タイムは0秒12速かった。体力の消耗もすくないらしい。
ゲストのソウル五輪金メダリスト、鈴木大地は、「準決勝で終わるのが決勝までいくくらいの差だ」という。
文
ヤンヤン