「日本に有効カードある」は本当か 北朝鮮問題

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   アメリカ政府による北朝鮮『テロ支援国家』の指定解除は、我々日本人にとって大きな教訓を突き付けられたように思う。

「拉致問題が解決しない限り」

   1つは、いざというときに助けてくれる「日米同盟」が幻想にすぎないこと。2つ目は、戦後60年以上もどっぷりつかってきた「米国依存」の甘えの構造からの依然として、脱却できずにいること。

   3つ目は、今後も日米同盟は続けざるを得ないだろうが、以上2つを踏まえて、独自のきっちりとした外交、防衛政策を確立する時代にきたことを暗示してるのではないかということ。

   今回は、「新たな局面に入った北朝鮮による核と拉致に日本はどう向き合うべきか」(国谷キャスター)をテーマに、高村外務大臣と中継で繋ぎ、取り上げた。

   高村大臣は「日本に有効なカードがないと思われている方がいますが、あるのです。経済協力と技術力です。拉致が解決しない限り、このカードは勿論、エネルギー支援も人道支援にも参加できない」という。

   だが、今回の『テロ支援国家』指定の解除で拉致問題に対抗できるもっとも有効なカードを失ったという見方が強まっている中で、心細さは否めない。

「核」は大丈夫か

   一方、核の脅威も拉致と同様、日本にとっては切実な問題だ。北朝鮮に「完全な申告」(ブッシュ米大統領)を求めていたにもかかわらず、急ぐあまり核兵器は含まれず、ウラン濃縮計画やシリアへの核技術協力についても曖昧に。

   「史上最低の大統領」という汚名を受けないよう、ブッシュ政権が実績づくりのために拙速に走ったと見られている。

   そうした内々の事情に翻弄されている日本。いざというときに助けてくれる「日米同盟」が、片思いの幻想にすぎないことを暗示してはいまいか。

   かつて、帝国海軍の将校だった人が、タメ息をつきながらこう話してくれたことがある。「戦前は、中国や旧朝鮮の船が無断で、日本海の領海内に入ったことは一度もない。恐ろしくて入れなかった」。

   それが今や、韓国や台湾、中国の密漁船は日常茶飯事、かつてほどでないにしろ、北朝鮮の工作船が出入りしていないという保証はない。

   戦前の軍国下の状態を賛美するわけではないが、「国境なき日本」の状態をいつまで続ければ気がすむのかと言いたくなる。今回は、米国依存体質からの脱却を真剣に考える好機、拉致問題はその試金石といえる。

モンブラン

   *クローズアップ現代(2008年6月30日放送)

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