<テレビウォッチ>原油高騰の影響はあらゆるところに及んでいるが、とりわけ地方にきつい。各地で生活が崩壊の危機にひんしている状況を、森本さやかがレポートした。
「大変やわ。みんなで暴動を起こさんと無理やね」というのはイカ釣り漁船。一昨日(6月18日)、全国の小型イカ釣り漁船3000隻が、一斉休漁に入って、沖の漁り火が消えた。その漁り火の油代が5年前の3倍になって、赤字になってしまったのだ。
ガソリンの値段が、来月からはレギュラーでリッター180円突破がいわれる。年内に200円とも。森本は、「企業のコスト削減も限界を超えた」という。
ミカンの産地で知られる愛媛・宇和島市では、温室ミカン農家の廃業が相次いでいる。森本が訪ねたあるミカン・ハウスの中身は、ミカンではなくミニトマトだった。転換は去年から。油の値段があがって「作れば作るほど赤字になる」からだという。
ミカンの温室は真冬でも20度Cに保つ必要があるが、トマトなら10度Cでいい。油は3分の1ですむ。この農家では、温室の光熱経費500万円余のうち400万円がボイラーの重油代だったが、それが800万円になっては、確かにやっていけない。
周囲には、廃業したミカンのビニールハウスがいくつもある。宇和島のミカン畑の面積は、2004年の23ヘクタールがいま6ヘクタールだという。缶詰工場も売り上げがへり、油代とのダブルパンチで「このままいくと危ない」と。
宇和島では、もうひとつの産業、真珠やハマチの養殖も、原油高騰で追い詰められていた。市内の商店街も夕方でも人影はまばら。シャッターを閉めた店も目立つ。
秋田・大仙市では、バスが止まった。県中南部の民間の路線バスが3月、16路線を廃止した。廃止・統合はこの1年で20路線になる。もともと採算が厳しいところへ、原油高が追い打ちした。
お年寄りは「病院へ行きたくてもいけない。交通がないんだから」「車もないし、運転手もいないし」という。市は、山間部の人たちのために独自にバスの運行を始めたが、もともとは通学用の1台のバスを廃止路線にまわすのだから、週に1日1往復ということになってしまう。
市は「財政状況もあって、これ以上便をふやすのは難しい」という。これ実は大仙市だけの問題ではない。
秋田出身の小倉智昭は、「つらいニュースっていうと、秋田が出てくるんだよねー」と嘆息。
森本は、番組が調べた各地のバス路線(フェリーも含む)の廃止状況を見せた。いちばん多いのは「20路線以上」で、東北から近畿までと九州に多い。いや逆に「廃止ゼロ」を数えた方が早い。たったの4県だった。
回答の中に「原油高で経費が2億9000万円ふえた」というのがあった。これではやっていけないのは道理だ。
小倉は、「いつか暴落すると思いますが……」といったが、抵抗しなければことは動かない。「ノーカー・デー」でも大々的にキャンペーンして、全国運動にしたら?