地震「東京、今たまたまない」に「虚しくなる」

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   <テレビウォッチ>岩手・宮城地震の発生(6月14日)から2日。地震規模としては阪神大震災とほとんど同じという割には、被害の形態が違うことがはっきりしてきた。今回の地震は、人的被害が少なかった(現在判明しているのは死者9人、不明11人)。また家屋の倒壊もほとんどなかった。かわりに、山間部の崩落が凄い。

あまり体験のない……

   小倉智昭は、「人的被害や家屋よりも、山ごとくずれるという、これまであまり体験のない地震だった」といったが、とかく支離滅裂な報道が多い地震報道のなかで、この日の「とくダネ」は、スマートに全容を伝えていた。

   崩落が凄いのは震源地の南西、宮城県・栗駒山(1627m)の斜面。荒砥沢ダムの上流では、東京ドーム7つ分の山が陥没。近くの駒ノ湯温泉では、宿が土石流に押し流されて、7人が生き埋めになり、3人が遺体で発見されたが、いぜん4人が不明だ。

   とくにこのダム上流の陥没は、発生直後から注目していたのだが、この日のヘリのレポート(緒方昭一)はよかった。「元の地形がどうだったのか、まったくわからない」と言いながら、カメラとしゃべりがきちんと連動していて、「白い糸のように見えるのがガードレール……」「さらに画面の左手には……」と、記者が映像をリードする模範的なレポートだった。3日目で初めて全容がわかるレポートにお目にかかった。

   また、自衛隊・消防が救助活動を続けている駒ノ湯の上空でも、「泥の海のなかに」など適切な表現。どうして土石流が発生したかもよくわかった。

   大村正樹が駒ノ湯への道をたどっていたが、途中、沼倉地区の民家が傾いている様子をレポート。家には「危険」という赤紙が貼られていたが、驚いたことに、昭和元年、築80年という木造家屋も隣接している牛の畜舎も倒れていない。

   解説に、東大地震研の平田直教授が出たが、意外やこの地域は「活断層の危険は少ない」とされていたのだという。「山の下に潜っている断層だろう」とも。栗駒山の火山灰が主の弱い土壌が、大規模崩壊の主因らしい。また、気象庁の説明では、地震の揺れの周期が、家屋へ与える影響が小さかったのだという。

   しかし、栗駒高原への道がスッパリと切れている映像を見ると、明治の濃尾大地震の6メートル断層の写真を思い出してしまう。どう見てもそれ以上はある。ただの崩落には思えない。隠れていた活断層の一部ではないのか?

   平田教授は、「日本全体でみれば、1年か2年にひとつ。地球全体で見ても地震が多いところですから、東京なんか今たまたまないということ」と、不気味なことを平然という。

   まあ、何億年という地球時間ではそうなのだろうが、ピーコが「虚しくなる」といっていたのは、まさにその通り。人間なんて小さい小さい。

文   ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト
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