また同じ言葉だ。「だれでもよかった」。きのう(6月8日)の昼下がり、秋葉原の歩行者天国で起こった通り魔事件は、7人が死亡、10人が重軽傷を負った。逮捕されたのは、静岡県在住の男(25)。「人を殺すために秋葉原へきた。世の中嫌になった」と。
男はレンタカーの2トントラックで赤信号の交差点に突っ込み、3人をはねたあと車から降り、何か叫びながら走ってサバイバルナイフで次々に通行人を刺した。駆けつけた警察官に路地で追い詰められ、なお抵抗したが、けん銃を向けられるとナイフを捨てた。
亡くなった7人は、19歳から74歳、6人が男性だった。刺された17人の半数が、背中から刺されていた。何だかわけがわからないまま、気がついたら刺されていた、というのが多かったことがわかる。通り魔はいつもそうだ。
秋葉原大好き人間の小倉智昭は、現場を熟知している。事件のあった交差点は「何千回渡ったか。そこへ初めて来た人が刺されている」「動機が理解できない」
元警視庁の駒田史朗は、「計画性はあるのに、警官にけん銃を向けられたら、すぐ投降している。年をとっているが少年みたいに精神的に未熟なところがある」という。さらに「通り魔は波及しやすい」と連続発生を懸念した。
この朝、携帯電話の掲示板サイトに、「秋葉原で人を殺します。車でつっこんで車が使えなくなったらナイフを使います。みんなさようなら」という書き込みがあった(午前5時21分)。容疑者の行動と符号はする。
しかし、動機はまだわからない。容疑者は青森出身。昨2007年11月から静岡の自動車部品メーカーへの派遣社員として、部品の組立をしていた。月給20万円。現在のアパートは、派遣会社のものだという。いま問題の「ワーキングプア」だったのか。悲惨な人生だったのか。
だが、通り魔事件の動機なんて、これまでだって解明されたものなんかないのだ。
ピーコが、「わかんないけど、この人だけじゃなくて、沢山いると思うのね」といった。そうなんだ。この事件をみて、どこかでだれかがまた起こすのではないかという予感--
こうした事件が起こるたびに思う。なぜみんな反撃しないのか。
傘をもっていたら、真っ直ぐに突き刺す。
ズボンのベルトを引き抜いて、ふりまわす。
カバンがあれば、それで防御する。互いに助け合う。
すきがあれば、けりを入れる。
背中を向けて逃げてはいけない。大声で威嚇するだけでも効果があるはず。こういう事件を起こす人間はもともと弱い人間なのだ。反撃は、次の発生を防ぐはず。
いざ事件に遭遇して、とっさにこれができるかどうかはわからない。が、少なくとも念頭においておけば、違ってくるだろう。