ランキングに支配される日本人 出版界への逆風

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ブランド志向なのか

   フリー編集者の仲俣暁生は、「不況だからふえる。長く置けないから、沢山置く。それと出版界の代金決済の特殊事情がある」という。ランキングについても「ある程度しょうがない面があるが、本が本来の売場に並んで、売れている本の隣の本に目が向くような環境作りが重要だ」といった。

   こうした流れに抗してできたのが、「本屋大賞」だ。本屋の店員が読者に勧めたい本、ということで毎年10冊をノミネート、1位に大賞を与えている。今年は伊坂幸太郎「ゴールデンスランバー」だった。

   ところが、受賞後売り上げが伸びたのは大賞の本だけで、2位以下はまったく伸びていないという。これが新たなランキングになってしまったという皮肉。売れる本はますます売れ、もれた本は消えていく。

   番組は最後に、オリコンが新しいランキングをつくっていると伝えたが、見ているうちに、「なんだ一種のブランド志向ではないか」と嫌な気分になった。日本人は、自分の好みも自分で決められないのかと。そういえば、ネットを手がかりにベストセラーを連発する人がいる。ランキングの裏側ものぞいてみたくなった。

                                      

ヤンヤン

  

<メモ:出版界の不況>
   昨2007年1年間に倒産した出版社は66社で15年ぶりの高水準だ。かつては優良といわれた草思社も08年1月、約22億円の負債を出して、民事再生法の適用を申請した。時間をかけていい本を作り込むことで知られ、「声に出して読みたい日本語」などベストセラーも多い。皮肉なことに、同社は10年前のクローズアップ現代で、不況のなかで元気な出版社として紹介されていた。それが「売り上げランキング」の前では、最良と思われていたやり方が通用しなくなっていたのだ。

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