60日の調査機関を延長し120日かけた調査にしては、曖昧模糊としたお座なりの結論だった。
テレビウォッチの「女医が実名告白「教授が太ももを…… 教授は否定」(スパモニ、5月28日)で取り上げた横浜市立大医学部で起きたセクハラ、パワハラ疑惑、同大ハラスメント防止委員会が5月29日に出した結論だ。
「ハラスメントは私だけが受けたのではなく、氷山の一角だ」。元上司の嶋田紘教授を訴えていたのは、3月末まで同大医学部の医師だった松本千鶴さん(33)。
委員会は、7項目の訴えのうち2項目のセクハラ、パワハラがあった事実を認めたのだが、その中身は……
1つは、患者の前で「CT取れ、そんなのも分らないのか」とののしったパワハラ。もう1つは、松本医師が嶋田教授の部屋を訪れた際に「そんなのじゃダメだ。もっと(性格が)丸くならなければ結婚できない」というセクハラ。
この調査結果に松本医師は「一部でも認められたことは全部が否定されるよりは良かった」と控えめながら評価した。しかし、嶋田教授に取り上げられたパソコンの行方については無回答。大学側は「どこにあるか答える義務はない」と突っぱねた。
再調査を希望している松本医師の弁護士は「質問はできない、異議申し立ての方法もない。これからどうするかも明示されていない。非常に納得できない」と怒る。
一方、学位審査をめぐる学生からの金銭授受疑惑もある嶋田教授は「ハラスメントはやっていない」の一点張りだという。
同志社大教授の村田晃嗣は「この大学の実態はよく分りませんが、多くの大学がハラスメント委員会を持っている。しかし、対外的に『持っている』と言うために持っているので、機能は非常に弱い場合が多い」と。
ジャーナリストの大谷も「(大学が)本気でやるなら第3者委員会を立ち上げなければダメだ」と、お座なり調査を批判した。