今回のマニフェストは太田光総理(爆笑問題)自身が提唱する「少年犯罪も凶悪事件は実名報道します」。しかし、ソーリが口を開くと、まず出てきたのは「少年」ではなくネットの話だった。
「インターネットなんかで、名前を出さずにものスゴい悪意を書き込むのがある――ボクも悪意をいっぱいもってる」とソーリは悪魔の(仮面の)告白をする。人の悪口を言い、貶めて笑いを取ることだってある。さて、そこでネットとの違いはなにか? 答えは「実名」にあり。「世の中に対して何か(表現)をしたら、世の中からリアクションが自分に来る。そういう状態であるべきだ」。そして、「1回やったことは消えない。自分が背負っていかなければいけない」
この「表現論」は、タレント活動のなかで培った強固な信念らしく、番組中、手を変え品を変え、繰り返し述べていた。今回の趣旨は、この原則はネットでも凶悪犯罪を犯した少年でも、あまねく通用するということである。
ところで、ソーリ曰く「自分は漫才師」。したがって、その言動には世間的になにがしかのエクスキューズが生じそうにも思えるが、少なくとも本人はそれをテッテー的に拒否する。ほとんど悲壮、悲痛なまで、かたくなに持論を訴え続けた。
しかし、丸山和也や福島みずほら弁護士軍団をはじめとする反対派は聞く耳持たない。丸山は「(実名で)報道なんかする必要ない」としつつ、飄々と反論。世の中どこに行っても(後ろ指指されて)追い詰められたら、逆に再犯しますよ――。
さらに意外な『敵』が現れた。司会の森富美アナに「名言をお願いします」とリクエストされ、「1週間前にFAXで頼んでくれないと無理」と弱音を吐くなど、この日もへたれキャラを発揮していたふかわりょうである。「凶悪犯罪は社会全体の罪」との認識を持つふかわは、顔を硬直させて叫んだ。「少年はまだ世の中のリアクションに耐えられない、弱い人間じゃないですか!」
たしかにふかわも『リアクション』には一家言あるはずではあったが、太田は「強い弱いじゃねぇんだよ! みんなそれをやるべきなの!」と机を叩いて激昂。その後、顔をそむけると一言もらした。「弱いよ、俺だって」
結局、法案は否決。開票結果を見ながら黙って拍手したが、弱いのに頑張ってる総理にとって、「匿名」は到底承服できない様子だった。