もっと過激な画像があるのでは…
岩城弁護士の視点は、もうひとつの問題、幼い被害者に向けられる。「児童ポルノは、性的虐待そのものです。子どもの性が金儲けの餌食になっている」という。番組がとりあげた2人の女性の手記は悲惨なものだった。1人は親戚に6年間性的虐待を受け、写真に撮られた。もう1人は、父親に撮られた写真が、ネットに載っていたのを発見したというのだ。
ともに今は大人になっていながら、心身に深い傷を負っているが、こうした子ども達のケアをする態勢はまだない。「家庭崩壊のこともある。保護と自立支援の人材の育成が必要」と岩城弁護士はいう。
取材に応じた40代の男性の話がショックだった。「(画像は)100万はいかないが、数十万枚はあった。動画は2000―3000持ってた。もっとかわいい、過激なものがあるんじゃないかと、やめられない」。もうほとんど変質者ではないか。
ネットには危ないサイトが掃いて捨てるほどある。そういう雑誌もある。しかし正直、問題がここまで深刻だとは思わなかった。同時に、「なぜこんな初歩的なことを今ごろ?」という疑問も抱いた。まずは「持つことは悪」という概念の確立だろう。法改正までの時間が惜しい。
ヤンヤン
<メモ:単純所持の禁止 米国の状況>
アメリカは1982年に「単純所持」を禁止し、現在はサイトにアクセスしただけでも罪になる。FBIは専従班がおとり捜査までして徹底的に取り締まっている。映画のシーンさながらに、ピストルを振りかざして家へ踏み込むのである。「所持はやがて犯罪につながる。FBIが抑止力になっている」とFBIの担当者はいう。
しかし、この効果の裏で、えん罪の発生が指摘される。ある少年は、覚えのないポルノ画像の所持で逮捕された。実はコンピューターウイルスの感染で、勝手に画像がダウンロードされていたことがわかって、助かった。もし「無実」が証明できなかったらどうなっていたのか?