電車の中で男が公然と女性に抱きつき、わいせつな行為をした。女性は自力で逃げ出し、車掌に知らせ、男は警察に引き渡された。だが、回りの乗客は何もしようとしなかった。
強制わいせつの容疑で逮捕されたのは安岡栄次容疑者(33)。事件が起こったのは今月5月18日、JR東海道線の大垣、関ヶ原の間だった。被害女性(19)は、車両最前列の窓際にいたが、安岡容疑者が通路側に座って「おれとつきあえ。いうことを聞かないと殺す」などと脅し、腹を殴った上、胸などを触った。すぐ後の席に乗客がいたが、女性の「助けて」という声にも動かなかったという。
同じようなことは、2006年8月にも、北陸線「特急サンダーバード」の車内でもあった。男が女性を脅迫、トイレに引きずり込んで暴行した。このときも、大勢が見ていたが、男に凄まれてだれひとり動こうとしなかった。
町の声もまた、驚きだ。
「相手を見る。助ける方法を考えるかも知れない」(男性)
「助けたい気持ちはありますけど、助けられないと思います。男の人の方が強いし」(女性)
「(乗客が動かなかった)気持ち判る。時が過ぎるのを待つしかない」(女性)
「助けると思います。自分も娘がいるんで」(男性)
今回の男は、「手が勝手にそこへいった。わざとじゃない」といっているという。
加藤浩次が、「むちゃくちゃな言い分ですよね」
レポートの阿部祐二は、わざわざ車内の図面や模型の人形まで用意して説明して、「密室を作ってしまった」といったが、そんな分析に何の意味がある? 密室じゃないんだよ。
加藤は「恐くて女性が動けなかったのも、後の老夫婦(だったの?)も判るような気もするが……」
テリー伊藤は「車掌にいいに行くことはできる。性犯罪をやる男は出てきてもまたやる」
おおたわ史絵は、「車内で痴漢にあっても、だれも助けてくれないですよ。いじめを見て見ぬ振りをするのと同じ。大人もそうなっちゃってる」
テリーは、「2年くらいでこの男は出てくる。どうするか」と心配してる。そうじゃないだろう。問題は、見て見ぬ振りのほうだろうに。スタジオに漂う「しかたがない」という空気がやりきれない。
かつてはこんなことを社会が許さなかった。女たちはわめき、男たちは、寄ってたかってぶんなぐっただろう。やっぱり世の中壊れちゃったんだな、と暗澹たる気分になる。