「手抜き工事ではないか」
スタジオで、防災が専門の東京理科大学の北村春幸教授は、現地の写真を見て、「古い建物でレンガの壁が多い。鉄筋とのつなぎも悪い」と指摘。たしかに、崩壊した建物でも鉄筋部分が残っているものがある。「日本でも30年かけて徐々に耐震基準を上げてきたんだから」といった。
耐震性の問題では、記者会見で、「学校などが崩壊しているのに、政府の建物だけ残っているのはなぜか」と鋭い質問も出ていた。また、ネットでも「手抜き工事ではないか」などの批判が出ているという。
中国政府の姿勢は、たしかに気になる。中国の報道陣も、現地入りは2社だけだという。どうやら基本的な体質は変わっていないようだ。
日本のメディアも、事故の詳細にどこまで食い込めるか。追い出されては元も子もないから、政府とのやりとりに神経を使うことになる。現地取材陣も、きびしい日々になりそうだ。
ヤンヤン
<メモ:中国・四川大地震>中国・四川省で起こったマグニチュード7.8の巨大地震。被害の全容は、まだ明らかではない。が、判っているだけでも、死者1万5000人近く、倒壊家屋364万棟、生き埋め2万5000人など。また規模も、内陸地震としては世界最大になるといわれる。 震源地は省都・成都の北西約100キロ。最も近いブン川は、チベット族など少数民族が多く、またパンダの棲息地としても知られる。近くの都江堰は、2000年前の水路が世界遺産で、観光客も多い。
この地震は1500キロも離れた北京にまで届いて、大きな横揺れが約30秒も続いた。宮崎の地震が札幌に届いたようなものだ。これは、震源が10キロと浅かったため、地震波が弱まらずに長周期の揺れが遠くまで伝わったのだという(纐纈一起・東大地震研教授)。また、名古屋大学のシミュレーションによると、断層は長さ300キロに及び、逆断層が1分半の間動いた。そのエネルギーは、阪神・淡路大震災の30倍になるという。