胡錦濤主席の来日に合わせた企画なのかどうか定かではないが、「中国経済の変調」を扱った。まず、現場報告から。
・上海株式市場の急落――昨2007年の今ごろ空前の株ブームを呼び、半年前には史上最高値をつけた。が、今年4月22日、最高値の半値まで急落した
・物価の高騰――特に食料品が深刻。重慶市では、2倍にはね上がった食用油の特売で、殺到した客が将棋倒しになり死者が出る事態に
・工業化に伴う農村の衰退――出稼ぎが増え、農産物の生産が減って価格上昇の原因に
・失業率の上昇―-広東省東莞市では去年、900を超える工場が閉鎖
食料価格が高騰
つぎに番組は、好調を続けてきた中国経済が、こうした状況に立ち至った背景を探る。政策当局が施した(1)金融の引きしめと(2)人民元の切り上げがきっかけで、(1)が株価急落を招き、(2)が輸出企業に打撃を与え、「世界の工場」の座を危ういものにしたというのだ。
では、どう乗り切ればいいのか。国谷が、この日、北京から戻ったばかりという、柯隆・富士通総研上席主任研究員に聞いた。
国谷「政策当局の空気は?」
柯「この先、社会をどう安定させるかのシナリオが見つかっていない。トップから庶民まで悩んでいると思う」
国谷「食料価格の高騰が庶民には苦しい」
柯「政策当局は金融の引きしめをやっているが、過剰流通を引きしめるだけで、食料価格の上昇を想定せずに無防備でやった。いま焦っているところだろう」
国谷「人民元切り下げはインフレを抑える効果はあるかもしれないが、輸出競争力が低下して失業者が増える。いまの中国にとっては頭の痛い問題です」
柯「ハイテク産業、サービス産業の振興を十分にやってこなかった。人民元が上がると労働集約型産業は苦しい。倒産が増えてインフレが進むと同時に失業率が高くなる」