映画「靖国」の公開騒ぎ 悪いのはビビッた映画館か

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   番組の冒頭で国谷裕子は、「社会の閉塞感が感じられる中で……」といった。答えが見つからない事件が起こると、よく使われる言葉だ。映画「靖国」をめぐる騒動も、そう見えたのか。

   騒動のきっかけは、週刊新潮2007年12月20日号の記事だった。「靖国」は反日映画で、国の助成金750万円が使われた、という内容だった。これを見た稲田朋美衆院議員(自民)が「政治的な宣伝性が無いことを確認するため」として、助成金を出した文化庁に試写を申し入れた。

「表現の自由として捉えたくない」

   この結果、国会議員向けの試写会が3月に行われたが、その翌週から上映予定の映画館に右翼の「上映中止」の攻勢が始まった。これはネットにも波及し、名前を載せられた映画館に抗議が殺到。東京、大阪の5館が上映を中止。また、名古屋の1館は延期した。

   名古屋の映画館の支配人は、見知らぬ男から「中止」を求められた。「映画を見たのか」「見ていないが、問題があると聞いている」と。支配人は「映画を見てもいないのに、何かが一人歩きしている」といった。

   作家の吉岡忍は、「よくわからないのに拡がった気味の悪さ。意見は違ってもとりあえず見てみるのが、世の中の豊かさなのに、それがなくなっている『恐れ』を感ずる」

   「巻き込まれたくないということなのか」と国谷。

   吉岡は「表現の自由として捉えたくない。職業としてのプロフェッショナリズムとは何かだ。映画でも本屋でも、何でも見せて何でも置いてが当然でしょ。それが引いてしまうのが問題」といった。

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