鉄道車両の強度基準 米国「あり」日本「なし」のワケ

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   国や鉄道事業者が、これまで取り組んできた列車事故防止策の根っこにある「事故は起こさないもの」という考え方を、「事故は起こるもの」に方向転換し始めた。

   国や鉄道事業者、車両メーカーが一体になって、これまで事実上無視されてきた『鉄道車両の強度基準』作りのため研究会を発足させたのである。

   国谷キャスターが「毎日乗っている通勤車両になぜ強度基準がなかったのか、驚かれた人もいるでしょう」と、この問題を取り上げた。さて、気がかりなのは新幹線。対象に入っているのだろうか?

   方向転換の契機になったのは、107人の死者を出したJR西日本の福知山線脱線事故だ。

脆さの理由

   多数の死者を出した原因を調べたところ、死者は、壁に正面から衝突した1両目とその1両目の後部に側面から衝突し、くの字に曲がった2両目に集中していたことがわかった。

   車体がもっと強固だったら死者はこれほど増えなかったのではないか。しかし、脆さの理由ははっきりしていた。

   国が作った『鉄道車両の技術基準』には、「堅牢で十分な強度を有し、運転に耐えるもの」(省令)とだけある。国の解説によると「列車同士や大型自動車との衝突、落石など災害による荷重についてまで耐えることは求めていなかった」という。

   国土交通省技術企画課の河合篤課長は「衝突を前提にシステムを組むことは説明しにくい。衝突させない形で安全基準を考えてきた」というのだ。つまり車両の強度については二の次。安全対策の前提になったのは「事故を起こさない」という考え方。

   列車事故に詳しい東大の井口雅一名誉教授も「福知山線を除けば90数%は駅ホームと踏切事故。事故防止という点では成功したといっていいでしょう」と、評価している。

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