EU委員長「ことば」の力 日本の政治家は勝てるか

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   加盟27か国、人口5億人、域内総生産が世界の3割を占める巨大国家連合にまで発展したEU・ヨーロッパ連合。その拡大は、牽引するバローゾ委員長抜きには語れない。彼の来日を機に、国谷裕子キャスターが成長戦略と課題について切り込んだ。

   ユーロ高によって経済的影響力を発揮し、地球温暖化対策でも大幅な温室効果ガス削減案を打ち出すなど、世界をリードするEUは、「ヨーロッパで活動したければEUのルールに従え」といった強硬姿勢で企業に臨む。マイクロソフトでさえ、「EUのあらゆる決定に全面的に従う」と恭順の意を表するほど。

企業は戸惑っているのでは?

   国谷「市場主義に基づく考え方になれた企業はEUのやり方に戸惑っているのでは?」

   バローゾ「市場主義経済を守ることには賛成だが、そのことによって汚染された食品や危険なおもちゃで人々が傷つくことがあってはならない。以前とは異なる市場が確立されたヨーロッパには、域内の5億人に適用される共通のルールが必要だ」

   バローゾ委員長はさらに「それは世界規模の市場でも同じだ。市場主義は万能でない。消費者の権利をいかに尊重するかだ。つまり、消費者の安全が確保されなければならない。そのことは地球の環境を尊重することでもある。なぜなら、地球こそが我々が住む唯一の星だからだ」と続けた。

   自信に満ちており、饒舌だ。2005年、委員長は試練に立たされる。新しい基本条約を目指したが、フランス、オランダの反対で潰(つい)えそうになったのだ。バローゾは条約案から「憲法」という文言や、「国家」を連想させるような条文を削除、各国首脳を粘り強く説得して、昨2007年12月、ついにリスボン条約締結にこぎつけた。自信の背景だろう。

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