光市事件の死刑判決は「不健康」か

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   最高裁が事実上「死刑にしろ」といったに等しい「光市・母子殺害事件」の差し戻し審。広島高裁はきのう(4月22日)予想通り「死刑」の判決を出した。

方針を間違えたのか?

   カギとなったのは、被告(27)の供述だ。差し戻し審で初めて出た「ドラえもんが何とかしてくれると思った」「魔界転生の復活の儀式云々」というやつ。これがわからない。被害者の夫、本村洋さん(32)は「1、2審で謝罪し反省していたのをひるがえしたのがくやしい」といった。

   裁判所はこれを「反省の色がない」とみた。大方の世論も支持している。この点に絞って、発言をならべてみると――。

   「21人もの弁護団が、方針を間違えたのか?」(加藤浩次)
   「弁護団のいうことおかしいよね」(テリー伊藤)
   「むしろ死刑を後押ししてしまった」(田中喜代重・弁護士)
   「はじめから今回の供述だったら、1、2審で死刑だったかも」(河上和雄・弁護士)

   被告の父親の証言があった。「まさかお前じゃないよな……なんでって、いまだにわからない」。一方で この事件では、被告の精神が「正常な状態ではない」のではないか、ということが、ほとんど伝えられていない。弁護団も「父親の暴力、母親の自殺の結果、精神年齢が12歳で止まった」と妙ないい方だ。肝心のポイントを避けるから、話がますますおかしくなる。

   先に弁護団から解任されて涙を流した今枝仁・弁護士は「被告は死刑を回避しようとはしていない」という。安田好弘・弁護士も「本当のことをいっている。母体回帰ストーリーは鑑定人の評価。かれはそんなことはしゃべってません」と。

   ではなぜ、6年も経ってから『新供述』が? ここだ。

   本村さんも検察も裁判所も、また世論も、「死刑廃止論者の弁護団」が、被告を利用していると見る。が、ひょっとして、元少年(何と嫌な呼び方)は初めから同じことをいっていたのではなかったのか? 弁護団が投げた問いは、これだった。死刑制度云々とも関係がない。

   当時の弁護士もむろん検察官も、耳を傾けなかった。「ドラえもん」では裁判がなりたたない。弁護士も、普通の言葉に置き換える必要があった。ために被告の異常は封じ込められ、情状や反省が判断の基準になってきたのではないか。しかし、その結果の9年である。

   テリーは「この結果は本村さんでなければ得られなかった。被害者がみんなできるわけではない。人によって結果が変わっちゃうのは不健康」といった。

文   ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト
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