立証は至難の業
結局、「患者一人ひとりが裁判を起こし、因果関係を立証していかねばならない」(山本記者)のだが、注射器が使い回しされていたこと、他に感染経路の可能性が無いことなどを証明する必要があり、大変な時間と労力がいる。『フィブリンのり』による感染の場合はもっと大変だ。
国は先に『フィブリンのり』を使用した可能性のある医療機関550か所を公表した。しかし、カルテが残っていない医療機関も多い。しかも医師側は、病気の治療薬との認識がなく、単なる接着材料とみなしカルテに書かなかったケースも相当あるとみられている。
これでは患者自ら因果関係を立証しろと言われても、至難の業だ。あまりの多さに「一律救済は困難」というのが国の本音だろう。
国や製薬会社、医療機関が、注射器の使い回しの危険性を知らぬわけがない。
医療の安全対策に対する無頓着、無神経ぶりが、後々大きなコストになって跳ね返ってくることを身を持って知らしめるいい機会なのだが。
モンブラン