「ガソリンの値段を安くするか高くするかは国民投票で決めます!」。これが番組内に設けられた「小さな国会」議場で太田光総理(爆笑問題)がぶち上げた最新のマニフェストだ。正確にはガソリン周りの暫定税率を廃止するかどうかを国民投票で決めようというもの。
「暫定税率の問題は混乱以外の何物でもない」。憂国の総理は眉をひそめると同時に青筋を立てながらまくしたてる。「(衆参ねじれ状態の)国会では時間だけがかかって決着がつかない。その間、国民は黙ってみてるだけだ。こうなったら国民投票で決めたらどうか」
かくして「国民投票」法案が提出され、太田含め総勢20人+VTR出演の東国原宮崎県知事が激論を繰り広げることとなった。最後は「議員」全員による投票を行い、可決された場合は本物の国会に陳情。現実とかすかにリンクさせるのがこの番組のフォーマットである。
今回のテーマ(マニフェスト)は、最新のガソリン問題に国民投票を絡めている。だが、これまでの「防衛予算を半分にします」「ハリウッド映画を0円にしてもらいます」などにくらべると、「○○について賛成か反対かの国民投票をするべきか」というのは間接話法的で、回りくどい。刺激やキレ、またはユーモアに欠ける。
そんな法案を提出した政治責任を感じていたのかどうかはわからない。総理は、しつこく相手にくってかかるなど、エンタメ度をあげるべく奮戦していたように見受けられたが、それも空回り感は否めない。
会議場では、ガソリン、ねじれ国会、国民投票それぞれについて、総理・議員(出演者)の視点が交錯し、混線状態だったのだ。ジャガー横田は、生活者の視点から暫定税率廃止=ガソリンを安くしろと訴え、評論家の宮崎哲弥は、これまで道路族や国交省に配慮して道路特定財源を一般財源化できなかった自民党を詰り、五月みどりはねじれ国会で何も決まらないのは小沢代表率いる民主党のせいだと注文をつける――といった具合に。
最終的にガソリン税をめぐる国民投票法案は可決された。タレントのふかわりょうは本会議中に「ねじれてるのは国会じゃなくて、国会議員の心だ!」との迷言を残したが、今日の「太田総理」の『ねじれ』っぷりもまた、それらに劣らないものだったかもだ。
そんななか、国民投票に反対する意見はある程度、共通していた。竹下元首相の孫で歌手のDAIGOが「国会議員が要らなくなっちゃう。おじいちゃんがかわいそうだ」と言うように、選挙で選ばれた国会(議員)軽視につながるというのだ。