例えば今、工場で働いていたとする。その工場の生産性を上げるためにはどうしたらいいだろうか。人員を増やす、工場を拡張する……。だが一番手っ取り早く、一番コストがかからない方法は、ムダをなくすこと。今回のプロフェッショナルは工場のムダを指摘して改善させるプロ、山田日登志。
山田は「工場再建屋」の異名をもつ男。いまパソコンなどの工場では、多くが「セル生産方式」と呼ばれる方法で生産されている。ベルトコンベアーを使った数十人規模の体制ではなく、少人数で完成させるやり方。その方法を編み出した男が山田だ。
声がかかれば、電子機器工場、家具工場、食品工場とどんな工場にも飛んで行く。VTRの中で、彼にふりかけ工場からオファーが入った。工場に入るやいなや「問題だらけだ」。山田が向かった先はふりかけを箱に詰める作業所。そこでは箱を組み立てる人と、箱に詰める人がいたが、それを一人でやるように指示。ふりかけが流れてくるスピードが速くないので、一人で出来るだろう、と踏んだのだ。この日、山田は2時間で50のムダを見つけた。
このように、全国の工場から呼ばれてはムダを改善させていく。しかし人間なかなか困ったもので、自分の習慣を否定されるとあまり気持ちよくない。長年やってきた方法を変えさせられる側からしたら、ひょっこり現れたヤツに文句言われるのは堪らない、と感じる人もいるのでは。
「変わるのがよいことだと分かり出すと、みんなが燃えてくる。誰でも変わりたがっていますから。」
誰でも変わりたがっている……その言葉が妙に心に残った。変わりたいが、今のままが楽だから。習慣を変えるわけにはいかないから。しかしそれを超えればより仕事ははかどる。改革を実行するには、改革後のビジョンをはっきりとさせなければ周りはついてこない、そう考えさせられた。