複製は複製、本物は本物
なるほど。さすがは芸術の国イタリア。本物をさっさとしまい込んでニセモノを飾るニッポンは芸術後進国だな――ガッテンガッテンと思わされるようなVTRの構成・進行だったが、スタジオでは反対コメントを盛り込んでバランスを取るのがBPO的良心的番組である。佐々木教授曰く、日本の文化財は紙や木の脆弱な素材が多く、イタリアとは事情が異なる。文化財の保存管理のためには複製置き換えは不可避である由。
「文化財の氾濫」が悪いとは一概に言えないし、寺社の置き換えにもやむをえない事情がある。それにしても、唯一無二の存在として何百年の歴史を生きてきたオリジナルは尊重すべきだろう。安全な博物館・美術館、保管庫に安置するのもいいが、その代わりにコピーを――いくらそっくりだといって――区別なしに飾られたのでは、オリジナルの立つ瀬がなさそうだ。
ボンド柳生