だれのための、何のための銀行か
ここで時間切れ。内容は空回り、聞いたことに直接答えない、旧経営陣へのぐちっぽい言及……結局、都議会でのやりとりの再現だった。
スタジオゲストの山口義行・立教大学教授は「中小企業を救うにはリスクがある。それを負うには利益を出す力が必要だ。が、事実上の撤退に近いから、(再建も中小企業支援も)客観的にはきわめて厳しい」と見る。
現に、江東区の工場の女性経営者は、新たな融資を申し込んだが断られていた。3年前1400万円を借りて、毎月40万円づつ返済して来月で終わる。この優良債務者にも次がなかったのだ。「この銀行の目的は何だったのか。がんばって払ってきたのに」と、この経営者ははきすてた。
石原知事の構想自体は悪くなかったのかもしれない。が、それに酔っていたのではなかったか。任せた経営者も悪かった。取締役会も無責任だった。とくに監督を怠ったのは致命的だ。当初の1000億円と追加の400億円で、都民1人当たり1万円を超える。
ある専門家がいう。「都は、民間人だからと任せきり。民間人は、自治体が最後は尻ぬぐいしてくれると。結果無責任体制になった」と。結局、だれのための、何のための銀行だったのか、の問いに戻る。
ヤンヤン
<メモ:新銀行東京問題とは>石原知事の発案で「中小企業への無担保・無保証融資」、「自治体が作った初の銀行」、「経営は民間の知恵で」とうたい文句を並べ2005年にスタートした。が、融資・預金積み上げ優先のずさんな経営の結果、焦げ付きが続出して累積赤字が当初の出資金1000億円を超えるまでになった。