「歯止めはない」
これには国谷裕子キャスターも「民間委託が随意契約で高止まりというのも問題だが、最低賃金まで人件費を下げたり、雇用不安を招いたりは極端すぎないか」と疑問を。
生出演した法政大学の武藤博己教授は「安いほうが望ましいというのが国や自治体の考え。今のところ歯止めはない」という。
さらに武藤教授は、もっと悪いのは「生活保護は標準3人世帯で23万円程度支給されており、働かない方が豊かな暮らしができる。働く意欲をなくすのは大きな問題だ」と指摘する。
既にアメリカでは、自治体の施設で働く人には最低賃金とは異なるリビング・ウェイジ(生活賃金)を支払う動きが広がりつつあり、現在150都市で導入しているとか。
リビング・ウェイジを導入しているニューメキシコ州サンタフェ市のデイビット・コス市長のコメントが印象的だ。「高い賃金を払っても、低賃金で暮らす人たちを福祉で支えることに比べれば、決して高くない」。日本ではこの考えがまだない。
ただ、東京・国分寺市で、ようやく労働条件や賃金水準を確保することを目標に「民間委託に関する基本方針」をまとめる作業に入っているのが朗報といえる。
自治体のコストを削減できたとして、それが行政サービスの著しい低下に跳ね返らない保証はない。
住民の生活環境の改善、住みよい暮らしの地域社会をつくること。これが自治体の使命のはず。総合的な見通しも立てずに突っ走る「理念なき変革」では困る。
モンブラン