深キョンは「薄毛デブ」を愛せるか?(未来講師めぐる)

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   楽しーい! 週末の夜にこんなの見せられたら嫌なこと忘れちゃうかも、と思える私はけっこうシアワセ者?

   吉田めぐる(深田恭子)は塾の英語講師。24歳の誕生日、満腹になると周りの人の20年後が見えるという特異体質になってしまう。彼女の目に映る風景は、ヤクザとおまわりさんが滑り台で遊んでいたり、教室ではシスターとSM嬢が机を並べで勉強していたり、はたまた死に装束の三角頭巾をつけた生徒までいて……。

   吸い込まれそうな大きな瞳、独特の声をもつ深キョンはアニメキャラのようにかわいく、この奇想天外な物語にみごとにはまる。宮藤官九郎の脚本もギャグ炸裂でツボがいっぱいだ。

   登場人物が面白い。ほんとうは散歩がキライな地井武男(めぐるの祖父)とか、Z型の長いう○こを自慢する塾長(武田真治)、「金八先生」マニアの高尾山登先生(正名僕蔵)、容姿可憐なのに「地獄さ落ちろ」が口癖の見習い講師みちる(黒川智花)。いちばんのお気に入りはエロビデオというあだ名の江口秀夫先生(星野源)。知らなかった、全国の江口ヒデオさんがそんなツライ目にあっていたなんて。

   それにしても、カッコイイ年下の恋人ユーキ(勝地涼)がいきなり肥満の中年男(田口浩正)になって現れたら、めぐるじゃなくても引くよなあ。自分の将来が「ズルムケのぷよぷよ」と聞かされて、自暴自棄になるユーキ。せめて「ふくよかとか、貫禄が」と言ってあげればいいのに。

   一方で幼なじみのイケメン社長に告白され、めぐるの心は揺れる。そんな彼女のもとに届いた1通のメール。「やっぱり僕は君が好きです。あの頃より今の方がずっと好きです」と、「20年後のユーキ」から。

   「50年後の君を今と変わらず愛している」なんて約束はぜったいウソだと思うけど、20年後の彼からのメールという設定はちょっといいな。ズルムケぷよぷよ役の田口浩正がなんだか愛しく見えてきた。

   さて、未来が見えるようになっためぐるは、周りの人たちのその後が気になってしょうがない。ついついお腹を満たして覗こうとしてしまう。講師室に設置された魅惑のお菓子コーナー、次々出てくる食べ物もおいしそう。おまけに黒板消しがいつのまにかカステラやカマボコになっていたり、チョークがかりんとうになっちゃうもんだから、食べる食べる……どっちかっていうと、ユーキの20年後よりめぐるの2年後の方が心配だよ。

文   ツキノ・ワグマ
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