「冤罪」にうるさい日本の法相にしてみれば、「ロス疑惑」はもっとも冤罪と呼びたくないケースのひとつだろう。もしこれで有罪になろうものなら、米国に足を向けて寝ないどころか、"冤罪"の被害者を米国に強制移住させる案を練っているかもしれない。
さて、番組では、米捜査当局がここに至って容疑者を逮捕しようとした理由を、テリー伊藤や、容疑者の(1980年代の)逮捕時に文藝春秋社に在籍していた勝谷誠彦が推測してみせた。しかし、旋条痕、DNA、新たな証言がでた!?など、一般論の域を出ない。
なかでは、勝谷が容疑者の経営する会社の役員だった女性の失踪事件に触れ、「これは入り口で、そっちに行く可能性も」と予言したのが耳を引いた程度。それにくらべると、「(事件当時)ミカちゃんはまだ生まれてないんだよね」と司会の加藤浩次に話を振られた三船美佳は持ち味を発揮した。
「容疑者は芸能人だと思っていた」と笑わせた三船は、続けて言った。「今度こそ、残された(被害者)家族のためにもぉ――」。と、加藤が目を泳がせながら、三船の口をふさがんばかりに慌ててカットイン。「まだ全然わかりませんけどね」
語るに落ちるというか、大人の常識人たる加藤はコドモのミカちゃんが危険なコメントをすると決めつけていたようだ。もしかしたら、「真実を明らかにしてほしい」とか、大人のコメントがひとりでできたかもしれないのに。
文
ボンド柳生| 似顔絵 池田マコト