テレビ君
東芝が次世代DVD規格「HD-DVD」から撤退することになった。一番の敗因は?
プレス君
先月(1月)、米映画大手のワーナー・ブラザーズがブルーレイ・デスク(BD)の単独支持を決めたのが決め手になった。これに、米小売り最大手のウォルマートがBD支持を打ち出して息の根が止められた。
アドバ君
ワーナーがBD単独支持を決めたことで映画ソフトの7割がBD陣営になった。BD陣営のソニーのH・ストリンガーCEOは自らハリウッドに乗り込んでワーナーなどに働きかけた。BD陣営が先手必勝で攻めたのに東芝の戦略は受け身だった。
エレキ君
小売りのほうでも家電量販店最大手のベストバイがBD支持を打ち出し、HD-DVDプレーヤーの米国での販売シェアは30%弱と落ち込んだ。ソフトもハードもBD陣営が抑え、一気に優位に立った。ハード・ソフトを押さえられたら打つ手はない。
プレス君
東芝はワーナーがBD単独支持を決めたさい「ずっと一緒にやってきたので驚いている」と情緒的なコメントしたようにワーナーが寝返るとは思いもしなかった。ワーナーは「規格争いが長引けばビジネス機会を失う」とあくまでビジネスライク。
エレキ君
日本の年末商戦でもBD陣営が強かった。家電量販店の展示でもHD-DVDは2、3機種なのに対して、BDはソニー、松下、シャープなどのBDが十数機種並んでいる。「昨年末からHD-DVDはいくら値下げしても売れなくなった」と量販店は正直。
アドバ君
東芝が一昨年の06年3月にHD-DVDを発売したさい、BD陣営のメーカーがリバースエンジニアリング(分解して中身を分析する)したら"これで採算が合うのか"と目を疑った。東芝は収益よりも独自技術のメンツにこだわった。重電部門を持つ東芝の弱さか。
テレビ君
東芝は独自技術にこだわり過ぎる。キヤノンと共同開発した液晶、プラズマをしのぐといわれたSEDテレビもうまくいっていない。移動端末向けのモバイル放送もあえいでいる。東芝の放送関係事業は悪魔に魅せられたのか。
プレス君
ビデオの「ベータ・VHS戦争」では、ベータのソニーが規格争いに破れ、VHSを発売するまで13年かかった。こんどの「BD・HD-DVD戦争」はわずか2年で終戦となった。東芝の被害も少なくて済むし、利用者の混乱も軽微で済む。得したのは誰だ。