イージス艦に「当て逃げ冤罪」? 現場リポーターの「取材力」は・・・

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   これがナマ放送の強味だろう。未明に千葉・野島崎沖で起こったイージス艦「あたご」と漁船の衝突事故を、ヘリからのナマの映像とともに伝えた。しかし、同時にナマの恐ろしさも存分に伝えた。

信じられない

   「朝刊キョーミ新新」の途中で、みのもんたが「速報です」と一報を伝えた。海上自衛隊のイージス艦「あたご」が午前4時20分頃、野島崎の沖40キロの海上で、漁船と衝突。漁船は沈没して、乗り組んでいた親子2人が不明、と柴田秀一が原稿を読むのとダブって、現場からの映像が流れた。

   海上に浮かんでいる白い物体にカメラが寄ると、千切れた漁船の船首部分だった。立ったような形で浮いている。回りに小舟が2隻。「これ現在の映像でしょうか?」と柴田。「船体にはセイトクマルという名前が記されているそうです」と新たな情報。

   「イージス艦の姿は見えますか?」とみのが聞いたところ、ヘリの女性レポーターは「現在確認できません」「現場を離れたということですか?」「と思われます」

   カメラがズームアウトして海上をさまよい、離れたところに浮いている船尾部分も写し出した。なたで割ったようにすっぱりと切れている。

   「これが船尾ですね」「そうです」「2人が乗っていた」「はい親子と見られる2人が乗っていて行方不明だということです」「波は立ってませんね」「はい、天候もよく波は立っていません」「漁船も救助に向かっている?」「捜索活動を行っている船は、今のところ2隻は確認できます」。

   おいおい、画面にはもっと沢山映っていたし、漁船もいた。このレポーターは、モニター画面を見てしゃべっているのじゃないのか?

   と、「あ、すいません。広範囲にわたって、沢山の船がいますね」

   やっと辺りを見回したのか。

   みのはやはりいちばん気になることを聞く。「イージス艦は救助活動をおこなわなかったのかしら?」「救助活動は海上保安庁が行っているということで」となおも、とんちんかん。

   たまりかねたか、柴田が「こちらに入っている情報ですと、護衛艦3隻とヘリが出ているとのことです」などと伝えて、「イージス艦の捜索活動は確認できないということですね」「そうですね、ハイ」といったところで、海上をさまよったカメラに「あたご」が写った。

   「これ、何でしょうね。イージス艦ですかね」と柴田。「あ、177、そうですね。イージス艦の番号です」。みのが「あーこれがぶつかったやつだ」

   甲板には乗組員がズラリと並んで海上をにらんでいる様子。当然、ランチ(小型艇)も出て走り回っていた。海保の巡視船もいる。漁船もいる‥‥このレポーターは、船の区別がつかないだけでなく、海上を見ていなかったわけだ。「イージス艦はいません」ときたんだから、「朝ズバッ」を見ていた海上自衛隊の幹部は、腰を抜かしただろう。

   距離もよくわからないらしい。「どのくらいの距離にいるのですか」と柴田が聞いても、「わかりません」。画面で見ると、約500メートルのところにいた。

   テレビのヘリレポートは、新米が多いのだろう。舌足らずが多いが、ここまでのは珍しい。

   みのは「いまの海は冷たいでしょう。心配ですね」。ともうひとつ「夜中に出航して、漁船にぶつかるイージス艦なんて信じられない」

   この男、いうべきことはちゃんという。

文   ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト
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