社員を名目だけの「管理職」にし、残業代を支払わずに労働を強いていたとして大手企業の違法性に裁判所が踏み込んだ。「有名企業がね・・・」と、みのがタメ息をもらした。
訴えていたのは、日本マクドナルドの埼玉県内の直営店店長、高野広志さん(46)。「店長を『管理監督者』とみなし残業代を支払わないのは違法」として、会社側に未払い残業代などの支払いを求め訴訟を起こしていた。
これに対し東京地裁は1月28日、原告の主張を認め2年分の残業代など約750万円の支払いを命じた。
高野さんによると、1989年に入社し99年に店長に昇格したが、年に最大137時間にも及ぶ残業、63日間休みナシの激務。新入社員が入ってくる時には研修で自宅に帰れず、車中に泊まることも。しかし、残業代はなく部下より給与が安いこともあったという。
このため、会社の上司に直訴したこともあったようだ。高野さん「100時間の残業をした時です。上司から『本人の問題で、会社に責任はない。能力が無いから・・・』みたいなことを言われた時は辛かった」という。
その高野さんが訴訟を決意したのは子供から言われた一言。「自分たちが死んじゃっても、お父さんは葬式にこれないね」だったという。
今回の争点となった『管理監督者』の範囲、妥当性について東京地裁は、「店長の賃金が管理監督者に対する待遇として不十分であることは明らか」としたうえで「店長は経営者と一体的な立場でなく、店舗の責任者としての立場にとどまる」と断定した。
つまり日本マクドナルドの店長を『管理職』と見なさなかったわけだが、同社は「会社の主張が認められず残念」とし、控訴する方針という。
バブル崩壊後の「失われた10年」以来、人件費を削除する一方で、異常な労働時間を強いる企業は多い。
今回の判決は、こうした傾向に警鐘を鳴らしたものだ。利益配分について人件費を抑える一方、配当金などに充当してきた企業は、見直しを迫られること必至だろう。