相変わらず、夫殺人切断死体遺棄事件の公判を「とくダネ!」は追いかけている。担当の大村正樹リポーターが、複雑な裁判の中身を「わかりやすく」伝え、刻一刻と変わったという被告の表情が「どう見えたか」を教えてくれるのだ。

「ボクが危険だと思うのはね…」。大村の長いリポートが終わるのを待ちかねたというように小倉智昭は滔々と喋りはじめた。
「(検察側が裁判員制度を意識して)プレゼン形式をとったり、ドラマのようなストーリー仕立ての映像を流してみせたりすることには、危険性ってあるんじゃないか」と「情報プレゼンター」の司会者は言う。
「都合の良いところだけを組み合わせられますからね」とコメンテイターの諸星裕・桜美林大学大学院教授。
小倉はうなづき、続けた。「裁判員のためにどんどんわかりやすくする過程で、事実と違ったモノが出てきちゃうんじゃないかって、不安があるんですよね」
含蓄のあるお言葉だ。とても実感のこもった言葉に聞こえた。「裁判員」を「視聴者」と置き換えるだけで、今日の番組反省会のスピーチに使えそうである。
文
ボンド柳生| 似顔絵 池田マコト