まあ、久しぶりの山口美江。「柴漬け食べたい」から何年経ったか。彼女も47歳だ。
オールビデオでの登場だったが、実は最愛の父を亡くしていた。それもアルツハイマーの壮絶な介護の末。壊れてゆく父との日々を記した記録が、きょう発売の「女ひとりで親を看取る」(ブックマン社)だ。
貿易会社を営んでいた山口俊雄氏は、早くに妻を亡くしたあと、男手ひとつで美江を育てた。タレント活動の美江を、いつも後で見守るかっこいいパパだった。が、68歳で引退してしばらくして異変が起こった。
ある朝、美江が起きてみると、びしっとスーツ姿で庭をはいていた。「名古屋に船が入ったので出張なんだ」。ろれつがまわらなかった。これが始まり。以来2006年9月、76歳で亡くなるまでの日々だ。
・ 行きつけの青果店に「名古屋に船がはいったからバナナ200キロ」と注文。
・ 親子で連れ立って歩いた。監視のためだった。
・ 薬屋に押しかけ「地下室に薬を隠してるだろう」
・ 薬を飲んだことを忘れ、次々になくなるまで飲んでしまう。
・ イヌの名前(種類)が覚えられない。
・ ついには、イヌを忘れて蹴ってしまった。
・ 徘徊して、血だらけで帰ってきたこともあった。
・ 美江に向かって「一緒にいてくれてありがとう。そろそろ結婚しようか」
・ 入院させるときは、泣きながら「お前、おれを売ったな」
・ 最後は日本語を話さなくなって、英語だった。
いま山口美江は、父のいなくなった家にひとり。「わたしの老後が心配になる。高齢者の合コンでも行ってみようか」などという。
赤江珠緒が、「ダンディーなお父様だから、ギャップがつらかったでしょうね」
レポートの立花裕人が介護費用に触れた。入院費が15万円、その他は5-10万円。山口氏の場合は年金が18万円あったというが、「年収300万円だときびしい」と。
森永卓郎は「年金と同時に介護もきちっと組立直す必要がある」
介護体験があるという若一光司は「悲しいのは、ときどき本人が普通になること。山口さんもよくやられましたね」