いやー、これには最終回まで引っ張られてしまいました。何に?
主人公であるいい加減な父親は、3人の子どもがいるのに6年間も家に帰らなかった、という設定なんだけど、帰らなかったそのワケは何か。それが最終回まで明らかにされないのだ。
矢野篤(高橋克典)は、小6の長女・凛子(夏居瑠奈)と小3の長男・健太郎(吉川史樹)、それから小1の次女・真美(遠藤由実)の父親。なんと6年間も家出していたのだが、妻杏子の急死で家に帰ってくる。6年前には物心ついていなかった健太郎と真美は喜ぶが、その時のことを覚えている凛子は無責任な父親を許せない。当たり前だよね。
父親が帰るまでと、子どもたちの面倒をみているのが、杏子が店長をしていた雑貨店で働く弥生(国仲涼子)。真面目な性格で、いい加減な篤にあきれ、ことごとく対立する。でも、そうこうしているうちに、ドラマの定石どおり、篤に惹かれていくのだけれど。
国仲涼子は、私にはNHKの朝ドラ「ちゅらさん」のイメージが強くて、何のドラマに出ても「ちゅらさん」に見えてしまう。うーん、沖縄なまりが抜けきれないせいかなあ。
この弥生に思いを寄せているのが、凛子の担任の洋介(小泉孝太郎)。教育オタクとでもいうべきキャラクターで、バカがつくほど真面目。何かというとすぐ「○○曰く、……」と、暗記している難しい学説を唱え出す。
じつは私は、親父の純一郎はあんまり好きじゃないけど、孝太郎はけっこう好きである。主役は張れないけど、それなりのポジションをさりげなく占めて嫌味がない。これなら役者を続けていけそうだ。
凛子の同級生の竜也(熊谷知博)は優等生。父親(尾美としのり)は篤と対照的なエリートだが、いま流行り(?)のクレーマーで、毎日、学校に電話し、洋介に文句をつける。見合い結婚の母(鈴木砂羽)も、夫唱婦随の教育ママ。竜也はそういう両親に逆らうことができず、いつも暗い。この上流を自認する一家をマンガ的に描いていておもしろい。
さて、最終回でついに明らかになった家出の原因はというと、クリスマスの日、子どもたちのプレゼントを買いに出た篤は、「もっと良い物を買ってやろう」とパチンコ屋に入り、全部スッてしまった。仕方なく女友達のところへ金を借りに行ったが、すでに借金がかさんでいて貸してもらえず、帰るに帰れない。1日が2日に、2日が3日に……だと。
えーっ、何よ、それ。時々、篤が懐から大事そうに家族写真を出して、深刻な顔をして眺めるシーンが出てくるから、きっと言うに言えない重大なワケがあるに違いないと思っていた私がバカだった。