韓流ブームとやらで「ヨンさま」だとか「ビョンさま」だとか言う、ホストまがいの優男が日本のオバサマたちを誑(たぶら)かした。はたまた不治の病で恋人が死ぬなんてワンパターンの涙ものも、続々入ってきたがさすがに飽きられた。日本への輸出が80%を占める韓国映画はこの2年ほど青息吐息だった。これじゃイカンと心ある映画作家たちが立ち上がって、良心的な作品を作り始めた。昨年韓国のアカデミー賞とも言える大鐘賞で最多12部門にノミネートされ662万人を動員したこの作品を始めとして、この夏公開された「D-WAR」と「華麗なる休暇」などが大貢献をしている。例えば7月には韓国映画の占拠率は19.2%だったのが、上記2作品が公開された8月は逆に79.6%が韓国映画だ。韓国映画界の慢心と堕落は一体なのだ。
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さて何故韓国映画のタイトルに「カンナさん大成功です!」と日本人の名前がつくか?原作が日本の鈴木由美子のコミックなのだ。それに製作費はワーナーの日本支社が出した。英題は「200ポンドの美女」。主人公は169センチで95キロのデブ女カンナ(キム・アジュン)。でも天は見捨てない。カンナは天性の美声を持っているのだ。プロデューサーのサンジュン(チュ・ジンモ)は、人気絶頂の歌手アミ(ソ・ユン)の口パクにカンナの歌唱を使っている。カンナはいつも優しいサンジュンに恋焦がれている。しかしトイレでサンジュンの自分への本当の気持ちを聞いてしまい一大決心をする。全身整形手術を受けてスマートな美女に生まれ変わろうと。
韓国の女性は高校を卒業すると、9割以上が整形手術を受けると言う。その整形王国でもやはりナチュラル美人が良いとされているのだ。1年間姿を消したカンナは、ジェニーというカリフォルニア帰りの自然美人として再登場する。サンジュンのプロデュースで歌手デビューを果たすが、嘘で固めたプロフィールが父や親友をも裏切る結果となる。
ストーリーがしっかりしており、芸能界の裏話や、整形手術の是非、それに憧れの美男子を落とせるか、などトピックをふんだんに盛り込んだ展開で興味深く映画は楽しめる。それにしても、95キロから実寸の48キロと半分になるスレンダー美女に変身するカタルシスが堪らない。アジュンもヒスンも惚れ惚れする美男美女。でも彼らも整形手術の産物だったりして。
2006年、韓国映画、ワーナー・ブラザース配給、1時間56分、12月15日公開
監督:キム・ヨンファ
出演:キム・アジュン/チュ・ジンモ
公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/200poundsbeauty/index2.html