無事に帰ってきてという家族の願いもむなしく3人は殺されていた。しかも犯人が身内だったことで、事件の背景にある不可解さがさらに際立った。
行方不明になっていた香川県坂出市のパート従業員、三浦啓子さん(58)と孫の山下茜ちゃん(5)、彩菜ちゃん(3)姉妹の事件で坂出署捜査本部は27日夜、「恨みに思って襲ったという自供と犯行に使った車両の検証結果から」啓子さんの義弟で無職、川崎政則容疑者(61)=高松市=を死体遺棄容疑で逮捕した。
川崎容疑者は「金銭的なトラブルで恨みがあり啓子さんを襲ったが、子供がいて騒いだので刺した」と自供している。
捜査本部では28日朝から、遺体を捨てたという高松・坂出両市にまたがる五色台の捜索に入った。ただ、単独か複数の犯行なのか、凶器の特定など不明な点も多く、川崎容疑者の犯行の確定作業はこれから。
なかでも、最も解せないのは、啓子さんが実妹(今年4月にがんで死亡)の夫から殺意を抱かれるほどの強い恨みをかっていた背景。 啓子さんは今年2月、ガンで入院した妹の病室まで訪ねて、借金を申し入れている。
パート従業員をかけ持ちし、1日13時間も働いていた啓子さんが、一方であちこちから借金し、金に困っていたことはこれまでの報道でわかっていた。解せないのは、司会の加藤浩次が言うように「何故そんなにカネが必要だったのか」。
リポーターの取材では、「啓子さんがパートで働いている職場に金をセビリに来ている人物がいた」とか、「人のためにおカネをつくる必要があった」という証言を紹介したが、そこまで。この後になるとトーンダウンし、はっきりしない。
そこが不明だと、殺された啓子さんや孫たちの無念さもわからない。全容が解明されるのは、まだまだ先だ。