視聴率的にはだいぶ苦戦しているようだが、私はこれ、けっこう好きである。検挙率は高いけど部下つぶしで有名なベテラン刑事、桜華子(泉ビン子)とダメダメ新人、畑山来実(仲間由紀恵)の凸凹コンビが主人公。
メンツからして人情ドラマみたいなのを想像していたのに、事件は謎に満ちた連続殺人でかなりシリアス。テイストは違うけどどこか「アンフェア」を彷彿させると思ったら、脚本は「アンフェア」の原作者、秦建日子だった。
来実の天然ぶりが面白い。空気読まないし、ピントずれてるし。聞き込みに行って映画「ゲド戦記」と原作の違いについて語り始めてしまったり、忙しくて恋人と2年も会えていないのに、終っていることに気づいていなかったりするところ、ことごとくツボ。
刑事なのに真っ白なスーツ、お前は松田優作か、ラストはその服を真っ赤な血で染めてしまうのか、とツッコミを入れながら見ている。恐れ多くも泉ピン子に思いっきりビンタをくらわせてしまうのもステキだわ。
だが、街中ですぐに拳銃をぶっ放してしまうのはいかがなものか。しかも3回も。そのうえ勝手に単独捜査をして、事件の手がかりを握っているかもしれない人が殺されてしまったのに、クビにならないなんて、ありえない。
納得いかないと思いつつも、来実と華子が担当をはずされて交通課の手伝いに回され、ピーポくんの着ぐるみを着て子供たちにボコボコにされている姿を見たら、つい笑ってしまった。ま、いいか。
事件のおどろおどろしさ(人が死にすぎ!)と、人間関係のコミカルな描写とのバランスがビミョーなのかもしれない。あと、韓流スターの存在も。華子の家の下宿人であり、捜査のカギを握る韓国人青年パクの役。人気スターを出したかったのだろうが、リュ・シウォンのセリフ回しがどうしても気になってしまうし、そもそも彼のファンが好むようなストーリーでもなさそう。
泉ピン子、リュ・シウォン、仲間由紀恵のキャスティングを見たいと思う視聴者層と、ストーリー内容が違っちゃった感じ?
とはいえ、事件の展開は興味深く、次回にひっぱられる。「アンフェア」では身近にいて、もっとも意外な人が犯人だった。今回もそうだったりしてとパクさんあたりに目星をつけていたら、あれ? わけがわからなくなってきた。これは迷走なのか、それとも思いも寄らない結末へ導かれるのか。いろんな意味で目が離せない。