「ひこにゃん」をご存じか? 滋賀県彦根市が、国宝彦根城の築城400年を記念して作ったマスコット・キャラクターだ。角のある兜(かぶと)をかぶったネコの姿が可愛いと、人気は全国区になろうという勢いだった。ところが、この命があと13日という。
誕生したのは去年の4月。彦根市がイベント会社を使って公募で選定し、市が著作権を買った形になっている。市はこれを大々的に売り出し、まず、申請だけで無料で使用できるようにした。また、着ぐるみ人形に「住民登録」を出して各種の催しをリードしたり。
このため「ひこにゃん」は、おみやげのシール、ぬいぐるみにはじまり、Tシャツ、バン、箸、ギターピック、水泳帽、昆布にまでいたるところで使われており、着ぐるみも撮影会にまで引っぱり出されるほどの人気になっている。
まずは作戦大成功というわけで、彦根市は「400年祭(今月25日まで)」が終わったあとも使い続ける予定だったのだが、これに作者から「待った」がかかった。「使用を中止してデザインを監修させてほしい」というのだった。
作者は「もへろん」さんといい、公募のコンペに出したデザインは3ポーズだけ。いずれも正面からの姿で、背中はわからない。ところが実際に作られているぬいぐるみには尻尾があったりなかったり、首のリボンも後の形がいろいろ、などの問題が起こった。そこで統一させてという意図だった。
ところが彦根市は「著作権は市が買ったものだから」と。また、現在使用しているのが370社以上というから、中止となれば混乱は必至だ。これらを踏まえて、きちんと対応しなかったらしい。そこで作者が裁判所に調停を申し立てたという次第だ。
笠井信輔の解説では、著作権には2つあって、ひとつは財産権。彦根市のいうのはこれ。しかしもうひとつ、著作者人格権というのがあって、これが例の森進一の「おふくろさん騒動」になったやつ。勝手に作り替えてはいけないというものだ。
作者はあくまでデザインの話で、別に使用中止が目的ではないというのだが‥‥。
小倉智昭は「公募の段階で一札入ってるんじゃないの?」
竹田圭吾は「こんなにヒットして、金のなる木になると思ってなかったんじゃないか」
佐々木恭子は「これだけ愛されてるんだから、いい形で使われてほしい」