一昨日(10日)岩手・水沢競馬場で、2歳の牝馬がデビューした。結果は、出走9頭中の5位に終わったが、この馬「トレジャースマイル」はデビュー前から大変な話題だった。その訳は、額の真ん中にある見事な「白いハートマーク」だ。
普段はあまり人が多くないパドックも、この日は携帯カメラをもった人たちがいっぱい。それも女性や若者、子どもまでが「ハートのお馬さん」という騒ぎ。ハートのついたものを持っていれば入場無料というので、指輪、サングラス、バッジ、イヤリングもハートマークがあふれ、馬券にまで赤いハートがついた。
レース結果は「ちょっと臆病なところがあって」(騎手)と残念だったが、関係者は「久々に話題性のある馬が現れた」と期待をこめる。というのも、地方競馬の入場者数は減る一方で、01年の900万人が05年には521万人。水沢競馬場も累積赤字が330億円で、危機的状況にある。
かつてのハルウララ(高知)を思い出す。高知競馬場の累積赤字は90億円だったが、ハルウララ現象で入場者は1日平均2500人が1万3000人に、収益も6000万円から最大8億7000万円を記録して、いっとき赤字も解消した。
岩手がねらうのもまさにこれ。一昨日のハート作戦初日で、入場者は普段の2000人が2800人に、収益も500万円が1069万円になった。
ハルウララが話題になったのは7歳だったが、トレジャースマイルは2歳で先は長い。水沢では、「ハートマークに触れるツアー」なんてものも考えているそうだ。ハートマークのご利益で、3日連続万馬券を当てたとか、ゴルフでホールインワンをやった、触った調教の馬が勝ったなどの話があるのだとか。
小倉智昭が、「レースにも影響するから、1日1人くらいにしてあげてほしいね」といったが、1人を選ぶのもまた大騒ぎとなるのは間違いなかろう。
そこで、「カギを握るのは武豊騎手」と、笠井信輔は力をこめた。ハルウララに武豊が乗ったときが、実は高知の最高記録。馬券も全国販売で8億円を叩き出したもの。実際、武豊は毎年かなりの数、地方競馬に出ているので、この先が楽しみというわけだ。
小倉が「牧場で聞いたことだが、鼻白とかはよく他の馬にいじめられることがある。それで先頭を走るようになる馬もあるし後を走るようになるのもあるんだと。ハートマークはどうなんだろうね」と、嬉しそうだ。
「ハートは、やさしい感じがするよね」とピーコ。