かつては「一家に一冊」という時代もあった。そんな気もするベストセラー辞書、岩波の「広辞苑」が10年ぶりに改訂されることになった。
「普通の辞書と違って、広辞苑を引くときは『勉強してるぞ』という感覚に陥ったりする」とキャスターの小倉智昭は言うが、あまりにも分厚すぎて使い勝手がよろしくない。個人的には、コンパクトで語句説明が面白い三省堂の「新明解国語辞典」のほうが好きである。
それはともかく、今回の改訂で広辞苑24万語のうち1万語が新しく追加された。その4割弱がカタカナだという。「外来語がいかに日本の生活に氾濫しているのかがよくわかります」(小倉)。
新しい言葉が日々生まれる現代。どの言葉を捨て、どの言葉を選ぶかはさぞ苦労したことだろう。落選組の代表は、「イナバウアー」「萌え」「できちゃった婚」。その一方で、「いけ面」「癒し系」「顔文字」「逆切れ」「うざい」「着メロ」などが、新規参入をはたした。
しかしデジタル時代のいま、"紙"の広辞苑は売れなくなっている。電子辞書がどんどん普及しているうえに、インターネットで言葉を調べる人が増えているからだ。
そんな動きに対抗するべく、広辞苑も新語をできるだけ取り込むとともに活字を大きくして、辞書離れに歯止めをかけようとしている。だが『とくダネ!』のエンタメ担当、笠井信輔アナは正直だった。
「結局、ネットを引いてしまいそうな気がする・・・」
文
小太郎| 似顔絵 池田マコト