「ヘアスプレー」
デブな女の子の歌と踊りが素晴らしい!

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   以前このコラムでも触れたことがあるが、映画をベースにミュージカルになり、それが好評でまた映画化されるという作品がいくつかある。「プロデューサーズ」もそうだし、この「ヘアスプレー」もそうだ。

TM & (C) MMVII New Line Productions,Inc.All Rights Reserved.
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   「ヘアスプレー」の大本の映画は1988年のジョン・ウォーターズ監督・脚本。そんなにヒットしなかったがカルト的な映画になった。2002年にミュージカルとして舞台に上り、翌年のトニー賞を総なめ。ブロードウェイの初演を見たが、曲もダンスも楽しめ笑えた。特に母親エドナ役の太った人気俳優ハーヴェイ・ファイアスタイン(トニー男優?主演賞)の歌唱力は凄かった。

   舞台は1962年のボルチモア。黒人差別の撤廃を推し進めた公民権運動はこの後少しの年月を待たなければならない。主人公はトレーシー(ニッキー・ブロンスキー)。ローカルTVのミュージックショーに夢中になるティーンエイジャーで、歌も踊りも凄い才能を持っている。でも太りすぎなのが欠点だ。母親エドナ(ジョン・トラヴォルタ)も太りすぎで外へは出たがらない。父親のウィルバー(クリストファー・ウォーケン)だけは痩せていて、太った女性が大好きでエドナを深く愛している。TVショーのプロデューサー、ベルマ(ミシェル・ファイファー)は娘アンバー(B・スノウ)をスターにしたいが、黒人のイライジャやデブのトレーシーが才能を発揮するから気が気ではない。黒人とデブを排除することを企むベルマ。

   62年の公民権運動の夜明け時代。TV局へデモをかける黒人たちにトレーシーが加わり、止めに入ったエドナも巻き込まれる。プラカードに曰く「TV is Black and White」(TVだって白黒だ!)、トレーシーのカードは「Integration NO Segregation」(差別撤廃)。人種差別を止めよ、と訴える運動と才能を平等に競うダンスコンテストを組み合わせたコメディ・ミュージカルは快調に展開する。

   髪を大きく膨らませてヘアスプレーで固めた60年代のファッションやサイケデリックな衣装が懐かしい。トラヴォルタやウォーケンの歌は初めて聞くし、他の出演者たちの歌と踊りが素晴らしい。「Good Morning Baltimore」で始まる数々の曲はどれもリズムがあり、特に「Big Blond and Beautiful」はクイーン・ラティファの歌唱が凄いし、トラヴォルタとファイファーの掛け合いバージョンもあり楽しめる曲だ。コンテストのクライマックスを盛り上げる「You Can't Stop The Beat」は全員が歌って踊る。総ての曲がポップでノリが良く耳に残る。久しぶりで堪能出来るミュージカル映画だ。監督はコメディ映画「ウェディング・プランナー」のアダム・シャンクマン。振り付けもしている。

   公民権運動は徹底しているようだが、まだいくらか黒人への差別は残っている。目新しいのはデブ差別撤廃への動きだ。ご存知のようにアメリカ人の殆どは肥満。「自己管理能力が欠如している」と管理職への道が閉ざされるなど差別はある。今まで表立ってのデブ差別反対の運動は無いが、この作品がヒットした裏側には肥満の人たちのサポートがある筈だ。

恵介
★★★★☆
ヘアスプレー(HAIRSPRAY)
2007年アメリカ映画、ギャガ配給、1時間57分、2007年10月20日公開
監督:アダム・シャンクマン
出演:ジョン・トラヴォルタ / ミシェル・ファイファー / ニッキー・ブロンスキー
公式サイト:http://hairspray.gyao.jp/?cid=haigo
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