北川景子の「泣き顔」が心に焼きついた(モップガール)

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   そうそうたるメンバーぞろいのドコモ2.0のCMで、唯一あなたは誰?という存在だった北川景子、今度はいきなりドラマの主役である。セリフがちょっと聞き取りづらいけど、表情が豊かで、美しい憂い顔が突然ブサイクになっちゃったりするところが面白い。

   長谷川桃子(北川)はイライラするほどドン臭いヤツ。結婚式場で働いていたが、失敗つづきであっという間に葬儀屋部門に異動を命じられる。初仕事は死体現場の清掃だ。銀行強盗の犯人が警官に撃たれて死んだ場所。

   ところが彼女、不思議なチカラをもっていて現世に未練をのこして亡くなった人の遺体や遺品にふれると、時間をさかのぼってしまう。それはつまり、死者の無念を晴らせってこと?

   遺体を引き取りに行くと、奇しくも桃子の高校時代の恩師・平松(小倉久寛)だった。なぜ先生が銀行強盗なんて・・・。突如半日前にタイムスリップしてしまった桃子は、なんとかして先生の犯罪をくいとめようと奔走する。

   ちょっと変わっていることで皆から仲間はずれにされて悩んでいた自分を救ってくれた先生。屋上から飛び降りようとした桃子に、哺乳類の中では異端のカモノハシの話から、「自分の価値を他人の目で決めつけるな。お前はお前の人生を堂々と生きていけばいい」と諭す平松。その言葉にふりむく桃子の泣き顔が何ともいえず、心に焼きつく。

   教え子の誕生日祝いに買ってきた、安いけどちょっとかわいいピンクのボールペン、桃子たちの飲み代にと置いていった二千円札、父の死に取り乱し号泣する肥満体の息子、そうしたディテールから、男の人生のいろんなことが想像できる。

   学校のことにかまけて家庭を顧みず、いつしか息子を追いつめていた自分、事業に失敗した息子を助けてもやれないことに腹立ち、俺はくだらない人間だと自暴自棄になる平松に、カモノハシの話を必死に訴えかける桃子。先生を死なせたくないと思う気持ちが、痛いほど伝わって来て胸がつまった。

   桃子の職場の先輩・大友将太郎には谷原章介。いつもはエリートやヤサ男役が多いけど、今回はワイルドなイメージ、今後桃子とどんなコンビになっていくのか楽しみ。葬儀屋社長の佐藤二朗も脇の方でチョコチョコ可笑しいことをしている。脱力系の笑いが得意なこの時間帯で、まさか泣かされようとは。初っ端はハデなところから書こうと思っていたけど、今週もっともグッときた作品ということで。

   ※モップガール(テレビ朝日系・金曜23時15分)

文   ツキノ・ワグマ
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