ブドウの房に散布された農薬が粒の先からじっとりとしたたっている。散布する農民も上半身裸だ。彼らは農薬の毒性にも無頓着。まして、それを食べる人のことなんか考えてもいない―――中国・広州近郊の農村ルポは衝撃的だった。
このところ、食品にかぎらず中国産品の安全性が世界中で問題になっているが、「スッキリ!」のルポは、野菜と農薬の現状を追ったからわかりやすい。ブドウ畑、バナナ畑の脇に工場があり、汚れた排水が畑の脇の水路を流れる。
農民は、バナナを食べてみせて、「わたしが食べてるんだから大丈夫」。ブドウ畑では、「大丈夫。これはワイン用だから」。おいおい、ワインはどうなるんだよ。
農薬を売っている店では、はじめは「ないよ」といっていた毒性の強い禁止農薬も、レポーターがさらに聞くと、裏の倉庫にちゃんとあった。「強い方が安いからみな買っていく。虫がいるんだからしょうがない」
中国の消費者の常識――農薬のない野菜なんかない。だから、農薬を洗う洗剤が必須。野菜を直接洗剤にひたして5-10分も洗っている。残留農薬が洗い流せると思っている。その洗剤だって、大いに怪しいものだ。別の毒である可能性が高いはずだが‥‥消費者には、他の選択肢はないのだ。背筋が寒くなる。
日本は年間500万トンを輸入。検疫での違反率は0.1%だというが、輸入量は年々伸びている。
「想像以上ですね」と加藤浩次。
かとうかず子は「いま私たちは虫が付いている野菜の方が安全と思ってるが、全く逆の発想ですね」
加藤が「知識がないということもある?」
テリー伊藤は「それと金が惜しい。これ中国はずっと変わらない。水際で食い止めるしかないが、スーパーなんかでも独自に検査してほしいですよ」
八代英輝も「加工食品や外食ではわかりませんからね」
さかもと未明は「日本でも公害あったじゃないですか。あれが必ず起こる」
その通り。かつて高度成長期の日本も、それに近い状況があったことを、どれだけの人が覚えているだろう。また、チェルノブイリ事故のあとで、ソ連の役人が「洗ったから大丈夫」と言っていたのを思い出してしまった。
日本への輸出よりなにより、天罰はまず中国人にくだる。しかし、彼らはそんなこと考えてもいない。もし知ったら? 改革開放政策はパンドラの箱を開けてしまったことはたしかだ。