「私、死にたいんです。手伝ってちょうだいよ。あ、20万円で面倒みるよ。これって嘱託殺人ですよね」
新聞の1面トップ記事でもテレビ芸人・みのもんたにかかると、お茶の間のおばさん口調になる。事件の内容を知るためには確かにわかりやすい。
千葉・市原市の電気工が嘱託殺人で逮捕された。近所の人の評判は「ごくありふれた優しいお父さん、良きパパ」。
昨年6月に「依頼であれば請け負います」自殺サイトを開設。「デスパ」というハンドルネームを名乗っていた。
この自殺サイトでメールをやりとりしていた21歳の女性。「ふわっとした明るい、誰からも好かれる子」だった。
理由は定かにされていないが、電気工に「殺して欲しい。最後までみとってくれ」と依頼して報酬として20万円を支払った。・・・フツーの人のフツーのネット・ショッピングのように。ネットの売買に<死>という商品は成立しない。
依頼された電気工は注文に応じた。女性に睡眠導入剤を20~30錠飲ませ、ポリ袋をかぶせて窒息死させた。
最近は「楽に死ねる睡眠薬を売ります」といった数百のサイトが存在するという。
「世の中の傾向を写す鏡でしょうか、こういう事例が多い。このケースは嘱託殺人にしても同意による殺人にしても、本当に本人の真意であったかどうかを見極めないと単なる殺人です」(弁護士・大澤考征)
本人の同意によってどこまで違法性が問われるのか。例えば末期がんの患者が介護している人に「殺してくれ」と依頼する・・・本人の同意があったにせよ、嘱託殺人として懲役6か月~7年。明治時代にできた刑法でいまなお裁かれることになる。
「いずれにせよ、犯罪を呼びかけること自体が問題です。このまま放置していいのかという問題があります」(蔦信彦)
サイトも犯罪の温床――というスタジオ・トークにみのの結論。「野放しにしておけないってことですね」