三畳一間で死んでいく老人たち、寂しいね

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   毎週木曜の深夜、NHKで「にっぽんの現場」という渋いドキュメンタリー番組をやっている。9月最後の回は、横浜の日雇い労務者の街・寿地区にスポットをあて、三畳一間で生きている老人たちと彼らを診療する医者の表情を伝えていた。

   山中修という53歳の先生が丹念に診て回っているんだが、その中には骨折して動けない老人や、ホームレス、ファミリーレスの一人ぼっちの老人がたくさんいる。ある老人は「一人になると、家族やふるさとが無性に懐かしくなる」ということだったが、死が目前に迫っているからそういう心境になるだろう。

   「どうせ死ぬにしても、死にもクオリティがあったほうがいいのでは」というのは、山中医師の言葉。治療するだけじゃなくて、生き甲斐や安心を与えたいということなんだろう。「医は仁なり」を地で行くようなお医者さんだった。

   年寄りが身寄りもなく、一人で暮らしていかなきゃならないというのは本当に大変なことだと思う。オレも年を取ってきたせいか、身につまされるような感じがした。寂しいドキュメンタリーだったよ。

   とても難しい問題なんだけど、それを淡々と描いていたのが良かった。思い入れもなく、クールに描くことで、かえって、ものすごい現実なんだということがひたひたと迫ってきた。

      これがまあ 終の棲家(ついのすみか)か 三畳間

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