「ディテクティヴ」
薬物中毒の「腐敗刑事」暗黒街の麻薬王に立ち向かう

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   昔「ディテクティヴ・ストーリー」というカーク・ダグラス主演の映画があった。邦題は「探偵物語」(51)。一体どこに探偵が出て来るのだろうと待ち構えるが全く現れない。刑事部屋の話だけだ。辞書を引くと「1.探偵、2.刑事」と出て来る。全くの誤訳で「刑事物語」が正解だった。

(c)2006 EQUITY PICTURES MEDIENFONDS GmbH & Co. KG All Rights Reserved.
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   昔のタイトルでおかしいと思う代表作は「ローマの休日」。原題はRoman Holiday。ローマの休日ならHoliday in Romeでしょう。原題の意味は(ローマ人のように)他人に迷惑をかける休日という意味なのだ。ヘップバーンの王女が皆に迷惑をかけるのを気にも留めず、一人抜け出してペックの記者とローマを遊び歩く。でも映画同様、名訳として映画史上燦然と輝いているのです。

   閑話休題。本作「ディテクティヴ」の原題はUntil Deathだが、昔と違い殆どの日本人はディテクティヴが刑事と分かるし、主人公は腐敗刑事だから、との邦題だ。Until death はdo us partと続く慣用句で、結婚の誓いで「死が二人を分かつまで」と用いられる。映画の縦軸は刑事ストウ(ジャン=クロード・ヴァン・ダム)と元刑事で麻薬王のキャラハン(スティーヴン・レイ)との延々と続く闘争だが、横軸は道を外れたストウと妻ヴァレリー(セリーナ・ギルズ)の愛憎物語でもあるのだ。

   深夜のニューオルリーンズ、フレンチクォーター。麻薬絡みの暴力と不正が横行する街。ここを支配するのは麻薬王キャラハンだ。彼は元麻薬捜査官だがミイラになり、今では暗黒街を牛耳る。執拗にキャラハンを狙う刑事は元同僚のアンソニー・ストウ。いつの間にか自分も麻薬常用者になっているストウを、他の警官は「汚れた英雄」と呼ぶ。キャラハンを罠にかけた逮捕劇は狡猾な彼がストウの裏をかき、女性おとり捜査官が殉職する。同僚たちの冷たい視線を受け、酒に溺れる失意のストウ。追い討ちをかけるかのように、妻ヴァレリーが他の男の子どもを妊娠していることが分かる。ストウはキャラハンを疑う。

   マーシャル・アート(格闘技)のマスター、ジャン=クロード・ヴァン・ダムは「タイムコップ」「サドン・デス」などB級映画の雄だ。ただ今回の役はいつもの正義漢ではなく汚辱にまみれた警官だ。敵役は「クライング・ゲーム」で注目を集めたアイルランドのスティーヴン・レイ。ハリウッドへ進出してからは大した役をやっていないのが勿体無い。監督はイギリス出身のサイモン・フェローズ。ヴァン・ダムとは「ザ・コマンダー」で組んでいる。

恵介
★★☆☆☆
ディテクティヴ(UNTIL DEATH)
2006年カナダ映画、アートポート、AMGエンタテインメント配給、1時間53分、2007年9月29日公開
監督:サイモン・フェローズ
出演:ジャン=クロード・ヴァン・ダム / ステーヴン・レイ
公式サイト:http://www.detective-movie.jp/
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