彼岸の時期だからというわけでもないだろうが、このところ葬式が続いて滅入っている。
阿久悠さんのしのぶ会があったと思ったら、ピンク・レディーの振付師として有名だった土居甫(はじめ)さんが亡くなった。80年代には「笑っていいとも!」の主題歌の振り付けをしてもらったが、いいとも青年隊を怒鳴りつけながら指導していたのが懐かしい。彼はオレと同い年。しかもオレと同じ悪性リンパ腫で、抗がん剤治療をやって3日で亡くなったというのがとてもショックだった。
それから、村上七郎さん。フジテレビの専務だった人で、フジテレビが元気になるもとを作ったオジサンだ。「フジはアパッチ精神でやっていこう」という旗振りで番組改革を進めた。その後は関テレの社長にもなったオレたちの大先輩だ。
社長といえば、マルハの元社長で大洋ホエールズや横浜ベイスターズのオーナーを務めた中部慶次郎さんも亡くなってしまった。プロ野球チームから企業名を取り去るという画期的なことをした人だ。「もういい会」というふざけた名前の会にちょくちょく顔を出していた。ジャズが好きな、穏やかな紳士だった。
もう一人、ドキュメンタリー映画「阿賀に生きる」の監督・佐藤真さんが飛び降り自殺で亡くなった。うつ病だったらしい。佐藤さんが身障者のアートのドキュメンタリーを作るときにお手伝いしたことがあるが、こんなことになって残念至極だ。
フジテレビの朝の番組「とくダネ!」の中に「温故知人」というコーナーがある。落語家の柳家花緑が狂言回しになって故人の足跡をしのぶコーナーだが、とてもしっかり作っていて見ごたえがある。悲しいことが続くけれど、せめてここで取り上げてもらえたらうれしいな。
秋風も 喪のネクタイを 締め続け