生物学者・長沼毅は変人だった

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   今回のプロフェッショナルは、変人である。

   生物学者・長沼毅。メールのチェックはロデオボーイに乗りながら。仕事で調査に向かった先でも、適度な温度の泉水を見かけるやいなや即席で露天風呂を作ってしまう。ピューターフラスコにはいつもお酒が入っていて、調査中にもかかわらず、一杯やってしまう。彼からは、心地よさそうな変人オーラが漂っている。

   長沼の研究は、生命の起源を探ること。地球上のあらゆる場所に赴き、サンプルを採取し、微生物を調査する。ときには火山の火口付近など、生物が絶対にいないだろうと思われる場所にも調査に行く。しかし、そんなところにも生物は存在する。その調査が、生命のルーツを解き明かすヒントになる。

   何事においてもそうだが、生真面目に、それだけしか見ずに何かに取り組むと、周りが見えなくなる。かちかちに固まった頭からは、柔軟な発想は生まれない。長沼は、新しい発見を望む人間にとってそんな状況は不都合だと考える。肩の力を抜いて楽しく向き合うことこそ、新しい発見につながる鍵なのかもしれない。変人になること、それは学者にとって必要条件のはずだ。

   番組ホストで、東大で博士号を取得した茂木健一郎はそのことについて「人間って、楽しそうに何かしている人の周りには集まってくるんですよね。小柴昌俊さんの研究室がそうだったんですけど、なんか知らないけどその周りは楽しそうなんですよ。やっぱ楽しそうにやっているとこがいいですよね」

   長沼は「原点ですからね、うん」と同意。

   また、番組後半で長沼が「"した後悔"と"しなかった後悔"があるけど、自分は前者の方がいい」というようなことも言っていた。動いてだめだった方があきらめがつくというもの。私も全く同感である。

   おおらかに、楽しく、積極的に取り組むこと・・・それが成功への秘訣なのだろうか。

   ※NHK プロフェッショナル 仕事の流儀 「地の果てにこそ、真実がある~生物学者・長沼毅」(2007年9月18日放送)

文   慶応大学・がくちゃん
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