「一足40万円」の靴職人は語る「継続する才能こそ一番大事」

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   服、バッグ、手帳、ペン、そして靴。こういったものに魅了され、よりよい物を求める男は多い。私もどちらかといわれれば、そっちの気があるのかもしれない。

   今回の「プロフェッショナル 仕事の流儀」ゲストは、靴職人・山口千尋。イギリスの一流職人のみが与えられる称号、「ギルド・オブ・マスター・クラフツマン」を日本でただ一人与えられている男だ。

   彼は「Hall&Marks」というハンドメイド靴工房を手がけている。その靴の価格はなんと、フルオーダーだと一足40万円台から。だが、番組で紹介された彼の製作工程を見れば、その値段も「まあ、アリかな」などと思ってしまう。

   フルオーダーの靴は、まず足の採寸から始まる。そして木型を丹念に制作し、試し履き用の「仮靴」を作る。顧客に実際に試し履きをしてもらい、さらに細部を詰めていく。そこから商品の制作に入る。恐ろしく緻密な行程を経て生み出される靴は、完全オリジナルの究極の一品。彼の作品を工房のウェブサイトで見ることができるが、どれも非常に輝いて見える。美しい。

   靴に限らず全ての高級嗜好品に言えることだが、それらは熟練した職人の高い技術とプライドのもとに作られている。当然、一朝一夕で身につけられる技術ではない。そのことは山口の手を見れば明らかだ。ハンマーで打ち付けられ、傷口に鉄粉が入り込んで硬くなった手から、長年の苦労がうかがえる。

   長い鍛錬に耐えるために必要なものは何か。番組ホスト、茂木健一郎が問いかけた。

   「継続する才能こそが一番大事な才能。(日々の作業を淡々とこなすだけではなく)今ある事象のもう一歩先を見て、それに向かって何か工夫を重ねていけるような継続の仕方っていうのが大事なんじゃないかなと思います」

   最高の素材で、最高の職人によって、最高の方法で作られた物は、やはり使う人を選ぶものだと思う。やはりそういった物が似合う大人になりたいって、思ってしまいますよね。

   ※NHK プロフェッショナル 仕事の流儀 「挑み続ける者だけが、頂に立つ~靴職人・山口千尋」(2007年9月4日放送)

文   慶応大学・がくちゃん
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