スポット番宣の、ずぶぬれでモップを振り回すシーンにひるみながらも、「チェックだ、チェック!」とチャンネルを合わせる。「壮絶ないじめ」をウリにするなんて、なんか、あざといなあという感じがしてたのよね。
土曜の23時台。「ライアーゲーム」に続くこの時間帯のテーマは「悪意」なのか?
ヒロイン椎葉歩(北乃きい)は高校1年生。あこがれの高校に入学したというのに、表情は暗い。この高校めざして一緒に勉強してきた親友(大沢あかね)が落ち、歩だけが合格。すると親友は飛び降り自殺してしまったのだ。「あんたがいなければ私が受かっていたのに!」という絶叫を残して…。勝手なやつだね。
癒しがたい傷を抱えてひとりぼっちの歩にやさしく声をかけたのは、クラスの女王様、安西愛海(福田沙紀)。「悪魔は天使の顔をしてやってくる」っていうけど、まさにその通り。こいつが、有力者である父の威光を笠に、取り巻きを使って非道の限りを尽くす。ウソをついたからといって本当に針を千本飲まそうとするシーンには、ゾッとした。
もう1人、タチの悪い変態男、佐古克己(細田よしひこ)がいて、自殺事件をネタに歩を脅して監禁、歩は緊縛写真を撮られてしまう。こいつも表の顔はイケメンの優等生だ。先生の信用は厚いどころか、担任の女教師(瀬戸朝香)を色仕掛けで丸め込んでしまう。
周りの女子は自分がターゲットになるのを恐れて遠巻きにしているだけだし、男子はむしろ面白がっている。こういうのが現実なのかなあ。それにしても、学校がこんなに命がけのサバイバルゲーム場みたいじゃ、勉強どころじゃないよね。生き残るためだけに全エネルギーを費やしてしまって、勉強する余力なんてあるわけないじゃないの。
いじめの記事を見ると「親には言えなかった」というのが多い。「心配させたくない」というが、もっと言えば「侮られ、いじめられるような不甲斐ない自分であることを親に知られたくない」んじゃないかな。わかるなあ。
歩も孤立無援。だけど、ただ1人、超然と自分を貫く羽鳥(関めぐみ)だけは、歩の味方になってくれた。この羽鳥の無表情がいい。それと、昔、いじめられっ子だった男子、薗田(北条隆博)も勇気を出す…。よかった!
残すところあと2回。「追いつめられた人間は強く生きるしかない。私は負けない」とタイトルバックにもあるが、これからどんな怒濤の反撃が始まるのか。ヒロインをこれでもか、これでもかと痛めつけておいて、最後に胸のすくような大立ち回り。うーん、ハマる。
だけど、どうして愛海と克己はこんなに性悪なの?
愛海は母の愛に飢えていて、克己は父の圧制に苦しんでいたから、などという絵解きですませたりなんかしたら怒るぞ。
それと、親や先生、傍観者の同級生たちに安易に反省させて、めでたし、めでたしなんて結末には、まさかしないだろうね。