世界陸上は盛り上がっていた――テレビ中継である。オーバーにいえばオリンピック以上だった。これでもか、これでもかの絶叫。夜のゴールデン・タイムで、外国人の運動能力の高さを賛美する大会中継。
最終日女子マラソンになって、やっとこさでメダル獲得。この間のトリノ五輪では荒川静香の金メダル1個。ニホンは女性アスリートで救われている感がある。
さて、銅メダルを獲得した土佐礼子選手が朝のワイドショー番組をハシゴ。朝ズバッ!に続いて、とくダネ!にも生出演した。新聞の番組欄には、夫婦で出ることになっていたが「ダンナさんは?」の問いに「仕事の関係です」――
レースではトップグループにいた土佐がいったん5位に後退した。それからひとり抜き30キロ地点ではもうひとりを交わして3位浮上。
この時だ。もっとも苦しい局面だった。一般道路で併走して「レイコ!レイコ!」と連呼する男性がいた。もちろん夫の村井啓一さん。
「どなる声、聞こえました。それと今日はいい位置にいてくれるなぁ、と」
がんばりどころで痛々しいほどの苦しい顔で、夫の愛の"併走連呼"に後押しされた。結果はメダル獲得、北京五輪の出場内定。
「結婚してからぐんと強くなりましたね。どう、ダンナさんとは」(小倉智昭)
「別居してたまに会うという感じですね。ずっと中国の昆明で合宿してますから、会うといっても東京で月に1回か2回」(土佐礼子)
「それじゃぁ、結婚した意味がないじゃないですか」(小倉智昭)
これにはやんわりと受け流した。
「落ち着いて安心して練習に打ち込めます。それで私ががんばらないと」単身別居で支える夫の応援に応えるのが一番。
故障に悩まされ、今回も昆明の合宿から帰国した時は松葉づえ姿だった。無類のがんばり屋は31歳。引退の二文字も背負っている。
「その日」のために愛媛・松山に、海の見える新居を建てた。「でも北京が終わるまでは・・・」
これからも夫婦でチャレンジするマラソンレース。
「北京ではケガなく調整してください」佐々木恭子アナも応援団の仲間入り。